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周知の事実だが、風紀委員長と生徒会長の仲は最悪と言っていいほど険悪だ。長たちの仲が影響してか、生徒会役員と風紀委員の仲も良いとは言えない。
生徒会に属する紅葉と風紀委員会の長たる神原が会話をすること自体、本来なら考えられないのだが、入学当初に知り合って何がなんだかずるずると付き合い、生徒会に入ってからは書類を届けたりした結果、神原は勿論他の委員にも唯一気に入られている生徒会役員となってしまった。嬉しいやらなにやら、事情も相まって複雑である。
しかしながら、いくら気に入られていたとしても、無償で手伝ってくれるほど風紀委員会も暇ではないはずだ。
主に今現在学園を荒らして回っている季節はずれの嵐のせいで。
「んー……まだ大丈夫ですよぉ」
「……まだ、ね。ま、ホントに困ったときは手伝ってあげるから声かけてね。生徒会はキライだけど白ちゃんの頼みなら聞いてあげるからさ」
「あはは、仲悪いですもんねぇ、会長と」
「だって生意気なんだもーん」
神原を一方的に毛嫌いする生徒会長と、二年の癖に会長とか生意気ダゾ! のテンションでウザ絡みに行っては嫌がる会長を見て面白がる神原の悪循環な図が展開されている。
生徒会長と風紀委員長が鉢合わせしたときのテンプレだ。巻き込まれないように半径二メートルは離れておこう。自衛は基本である。
「巡回ついでに寮まで送ってあげる」
「え? 悪いですよ、っていうかまだ仕事なんじゃ?」
「仕事なんてないよーん。みんなしっかりちゃっかりしてるから残業なんてしたくないみたいで、時間配分ちゃんとやって仕事終わらせて帰るんだよなー」
生徒会とは大違い!
軽く感動しながら、どうして生徒会に入ってしまったのか今更ながら疑問に思った。
「じゃあ、神原さんは今まで何やってたんですー?」
「びっくりだよね、昼寝してたら外が真っ暗!」
誰も起こしてくれなかったのね。
学園最恐と恐れられているのにそんな扱いでいいのか風紀委員会。
「だから俺も巡回しながら帰ろーとしてたのよん。そしたら前を白ちゃんが歩いてたから声かけただけな」
「ふぅん。なら一緒帰りましょーよ。巡回っても散歩みたいなものでしょ?」
「ふふ、そのとーり」
シニカルな笑いを浮かべて隣に並んだ神原に不覚にも心が折れそうになった。
一年しか違わないというのにどうして背丈がこんなにも違うのだ。高校二年生男児の平均身長よりはある紅葉だが、神原はそれ以上に背が高い。
「相変わらず白ちゃん小さーい」
無情にも、ガラス製のハートはたった一言で粉々になった。
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