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手に持った書類を数えながら、これから行く場所を思い浮かべると面倒くさくなってきた。
「しーろちゃん、なにやら大変そうだね」
「っか、んばらさん!」
耳元で囁かれ、手元の書類を取り落としそうになった紅葉は慌てて振り返った。
十数センチ高い位置にある整った顔に思わず振り返った体勢のまま仰け反って、膝ががくっと崩れ落ちる。
「おおっと、白ちゃん大丈夫?」
なんだそのイケメン!
倒れそうになった紅葉を抱きすくめ、引き寄せた神原はやっぱりイケメンだった。
なんで人気ランキングで神宮寺が一位なんだろう。
神原さんの方が断トツ一位でイケメンなのに。
「神原さんのせいでしょーが……」
「ん? なーに?」
「なんでもないですよー……で、いつまでこの格好なんですか」
「白ちゃん軽いなぁって思って。着脹れするタイプでしょ。手首とか細いし」
「どうせ貧相な体ですよーう」
いそいそと神原の腕の中を抜け出した。少し折れてしまった書類を直しながらジト目で視線を投げれば、なんとも言えない表情で苦笑をしていた。
どうやら日之がきちんと扉を閉めておらず、生徒会室の外までやり取りが聞こえていたようだ。
そこへ生徒会に提出の書類を持った神原がやってきた。
恥ずかしい場面を見られてしまったが、あの状況で入っていけば日之に絡まれることは目に見えており、入りづらい空気もあって隣の会議室で待機していたらしい。
「……すいません」
「白ちゃんが謝ることないよ。そもそも、生徒会室に宇宙人を連れてくる神宮寺クンと宮代君が悪いんだからさ」
「そう、ですよねぇ。僕、悪くないですよねー!」
「うんうん。悪いことはぜーんぶ神宮寺クンに押し付けちゃえばいいよ」
二年生にして生徒会長を務める神宮寺雅人。有能で優秀で誰よりも俺様だが、誰よりも不憫でヘタレな生徒会長だった。
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