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 唇が触れ合う。  ワイシャツを捲って、大きな手のひらが素肌を撫でた。 「んぅ、ふ、」  鼻から甘い声がもれる。腕を伸ばして、頭を抱きかかえた。  ガチャガチャと、忙しなくベルトが外されて、下着に指が引っ掛けられた。 「か、かざりさんもっ」  自分だけ肌蹴させられるのが恥ずかしくて、頬に朱を走らせながら神原のネクタイに手を伸ばした。  しゅる、とネクタイを解く。  カーテンの締め切られた薄暗い教室内。遠くで始業の鐘がとっくに鳴り終わっていた。  流されて、セックスだなんて最悪だ。だけど、相手が風璃さんとだと考えると、最悪とも思えなかった。  何度も角度を変えてキスをして、舌が絡み合う。こんなこと初めてで、どうしたらいいかわからないなりに必死に応えた。 「う、ぁ」  下着越しにやんわりと性器を扱かれ、生理的に勃起してしまう。  肩に引っかかったワイシャツに動きを制限される。  爪先で胸の先を弾かれるともどかしさが走った。  目を閉じて快楽を享受する。薄く、開いた目が神原とかち合った。見られている。上品な紅茶色の瞳に、顔を赤くする紅葉が映っていた。  理知的な瞳があられもない姿をつぶさなく観察していることに羞恥して、白い裸体を曝け出した。 「やっぱり、紅葉君は綺麗だ」  ちゅ、ちゅ、と頬に、首筋に、鎖骨に口付けられる。悪戯に鎖骨を噛めば、面白いくらいに肩が跳ねた。  薄暗闇に浮かぶ真っ白い肢体。浮いたあばらに、ヘソに口付ける。舌先でえぐる。 「やっ、そんなとこ汚いッ」 「紅葉君は全部綺麗だよ」  恥骨に口付けられる。絶えられない羞恥心に涙が浮かんだ。  誰にも見せたことのないところまで見られている。  常に理性的で、飄々としている神原の瞳には紅葉しか映っていない。熱を孕み、欲を抱いた目は僕だけが見られるのだ。  ちょっとした独占欲。心が、気持ちが神原に侵食されている。 「う、う、ひぃ、んぁ、」  水音が大きくなる。いつの間にか下着を脱がされて、芯を持ち半ば起ち上がっていたそれを口に含まれる。 「――ッ!」  直接的すぎる刺激にすぐにイッてしまいそうだ。根元をきゅ、と握り締められ、それは叶わなかった。  熱が溜まって、唾液で滑りがよくなる。  ず、ずちゅ、と淫猥な水音に、授業中なのにと背徳感が強くなった。 「あ、あっ、ぁ、イく、イっちゃう……!」 「い()よ、()って」 「ふぁ、あッ!!」  ぐっ、と強く先っぽを吸われて、根元を戒めていた手を解かれる。  開放感に、目の前が白く濁った。 「ん、ふ、はぁ、はぁっ」  長く息を吐き出して、全身脱力感に襲われる。  自分でするときよりも、気持ちよかった。はたと、神原を見て全身を羞恥心が巡った。  口元を押さえた手のひらの隙間から溢れる白く粘り気のある液体。あろうことか、ごくん、と嚥下したのだ。言葉を失う紅葉に神原はこともなく首を傾げた。 「紅葉君のなら飲めるかなって思ったけど、ほんとに飲めちゃった」  馬鹿じゃないのかこの人!  怒り出したい気持ちも萎えて、紅葉は脱力した。 「……僕、ばっかり」  結局、神原はネクタイを外して襟元を乱したぐらいだった。 「俺はへーき。……それに、ここで出しちゃったら我慢できなくって理性飛ばしちゃいそうだから」  獣のような強い光に息を飲む。  それに何を思ったのか、口よりも先に身体が動いていた。 「じゃ、あ、せめて口でさせて」  このとき、理性が飛んでいたのは紅葉だったかもしれない。  自分自身では得られない強烈な快感に頭がくらくらしていた。  無理やり、ほとんど入っていない力で机に押し倒して、ベルトのバックルを外す。 「ちょ、こ、よう君ッ!」  諌める声なんて聞こえないふり。  布を張った性器を露出させて、その大きさに目のやり場に困った。なんだ、しっかり起っているじゃないか。  乾いた唇を舌先でなぞり、唾液を溜めて咥えてしまう。フェラなんて初めてだ。歯を立てないように、柔く甘噛みをする。 拙い舌使いで竿を舐め、神原がシてくれたように舌先で鈴口を抉った。しょっぱい、えぐみのある味に眉根が寄る。 「ん、ぐ、んぐ、ぁ、あ”ッ」  突然、喉奥を傘で犯された。  じゅぷ、じゅぽ、と下品な音に身体が火照った。  熱く、滑った口内は酷く気持ちが良い。紅葉が咥えている、という事実だけでも神原は気持ちが昂っていた。  紅葉が、ここまで触れさせてくれることが嬉しい。  好きだ。狂おしいほどに、紅葉君が好き。  両の手のひらをグッと握りしめていないと、好き勝手にしてしまいそうだった。

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