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第16話

夏休みまで、あと数日となった。 今は体育で、本来であれば水泳をやっているはず。生憎一葉は水泳道具を忘れてきたので、見学しようと思ったが、制服のままプールサイドで見学となると濡れるので、図書室で自習となった。 この学校の図書室は今までいた学校の中でも1番大きく、古い本から新しい本まで並べられていた。窓側の学習席からは、プールの様子が見える。 図書室は、一葉一人だった。 自分が読みたい本を探そうと本棚に向かったとき、奥から小さな声が聞こえたのだ。それは呻くような、吐息のような、微かな声だった。 誰かいるとは思わなかった一葉は、足を止め、声のした本棚の方へと向かう。声は、止まることはないが、不定期に漏れ続けている。 そして、声のする本棚の手前で、そうっと奥を覗く。 一葉は、思わず息を止めた。

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