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第17話

ーーー 目の前では、景色が次々と流れていく。田舎なことには変わりないが、海に近づくにつれ、工場などが多くなっている気がする。 「一葉、酔ってない?」 突然、頬に冷たいものがピトリと当てられ、「ひ、」と小さく声を出してしまう。そんな一葉を見て、奏矢はクスクスと笑った。その奥には、頬杖をついて眠っている理玖の姿がある。 今は新幹線の中で、海に向かっていた。席は、奏矢を真ん中にして、窓側が一葉、通路側が理玖の三列席だ。こんな目立つ二人だから、ある程度は予想していたが、先ほどから注目度が半端でなかった。席を立つ人も心なしか多い気がする。改めて二人の凄さを実感する一葉だった。 「あ、奏矢、ありがとう」 「いいえ」 ニコリと微笑まれると、同性にも関わらず胸が不規則に打った。奏矢に渡された冷たいオレンジジュースは、汗を伝わらせている。 「海、楽しみ」 「僕も」 そう言って、クスクス笑い合った。

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