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第14話
情事の後始末をし、新しいパジャマを着せてやってるとき、雪は目を覚ました。
「……ありがと、律……。俺、すごく幸せだった」
「雪、消えなくても済む答えを教え――」
一秒でも早く答えを知りたいのに、雪は俺の言葉を遮って一人呟く。
「そりゃ本音言うと、ああいうことは律に好きになってもらってからしたかったけど。それは欲張りすぎだよね」
え?
「ちょっと待て。雪」
雪の中で何かが大きく誤解されているようだ。
「おまえと出会う前の俺は確かにチャラかったけど、今はおまえ以外考えられないから」
「律……必要以上の同情や嘘はいらないよ」
「雪?」
「だって律、すごく綺麗な女の人と付き合ってるじゃないか」
「は?」
雪が涙をいっぱいにためた目で睨んでくる。
「いつだったか、スマホ忘れて行った朝があったでしょ? あのとき俺、律のこと追いかけたんだ。そのときに女の人と二人きりでいるとこ見ちゃったんだから」
「雪……おまえ、俺たちの話聞いてなかったのか?」
「ショックで、すぐに逃げちゃった……」
……だから誤解してしまったわけか。
「馬鹿だな、俺と彼女はとっくに別れてるよ。あのときも別れ話の再確認みたいなものをしてただけ」
「…………」
雪の瞳が少しの疑心と、大きな希望の間で揺れている。
「雪、夫の話が信じられない?」
「……律……」
雪の目から大粒の涙が零れ落ちたかと思うと、ふわりと抱きついて来た。
「疑ってごめんなさい……律、俺消えなくて済むのかな……?」
「だから早く答えを教えてくれって」
俺は雪を守るためならなんだってするから。
「……律がね、俺を本当に好きになってくれたら、消えなくて済む。それが答え」
「え……?」
……それじゃとっくに答えは出ていたんじゃないか。
もっと早く雪に思いを伝えていれば、雪を苦しめずに済んだんだ。
「ごめんな、雪」
「え? 何が?」
「なんでもない。安心したらもう一回セックスしたくなった」
「え? ええ? ちょっと律っ……」
俺は雪の軽い体を抱き上げ、耳元に囁いた。
「……好きだよ……」
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