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エピローグ

【エピローグ~サムの場合~】 基地の自室でサムはベッドに仰向けに大の字に寝てしみじみ思う。 クラウリーに犯罪声明と犯罪予告を任せたせいで、僕達はテロリスト扱いされてしまったけど、兄貴を取り戻せて本当に良かった! その一言に尽きるよ…疲れた過ぎて調べ物も出来ない…。 もう二度とフロリダ州には行かない!と決心したサムであった。 【エピローグ~ボビーの場合~】 自宅で年代物のウィスキーをぐびぐび飲むボビー。 普段は味わいながら、じっくり飲むのだが、今日くらいはぐびぐび飲んでもバチは当たらないと思う。 ディーンが戻ってホッとしたが、愛車がマイアミデイド署の証拠保管駐車場に置かれているのかと思うと忌々しいことこの上無い! いつか取り返してやる! その前に科学捜査について知識を深めねば! ウィスキーの入ったグラス片手に、分厚い『科学犯罪捜査~入門編~』というタイトルの本を捲るボビーであった。 【エピローグ~チャーリーの場合~】 某州のモーテルの一室。 チャーリーは金髪から赤毛に戻してご機嫌だった。 まあ色々大変だったけど、私のハッカーとしてのスキルが無ければディーンを取り戻せなかったのは事実だし? そう考えるとマイアミでの戦いは私の大好きなファンタジーの冒険現代版と言えるわ。 大変だったけど、終わってみると楽しかった~! まあサムとディーンは『家族』だし、付き合うの楽しいから良いんだけど、毎回毎回お金にならないからなー。 さあ次の仕事先を探さなきゃ! そしてラップトップのキーボードを凄まじい勢いで叩くチャーリーだった。 【エピローグ~クラウリーの場合~】 地獄の王の間にて。 最高級のスコッチを飲みながら、こっそり部下に撮影させていたマイアミでの自分の行動の動画を観て、悦に入っているクラウリーの姿があった。 やっぱり俺様が居なきゃあの兄弟は駄目だ駄目! あ~能力があるって逆に辛いな~。 あ~人望があるって逆に辛いな~。 ご褒美にまたディーンとの二人旅を目論むクラウリーであった。 【エピローグ~カスティエルの場合~】 ディーンがサムと握手して、サムがディーンを引っばり、ディーンの身体の一部がフロリダ州から1ミリでも出たら、その瞬間に私の力で基地まで飛ぶ作戦は見事に成功した。 ディーンは意識が無かったが、基地で私がきちんと『手当』をしてやったので、記憶も戻り、元のディーンが帰って来てくれた事が嬉しくて堪らない。 ディーンのマイアミでの記憶は『記憶喪失でずっと入院していた』に書き換えた。 そしてディーンが帰って来た夜、基地のディーンの部屋でディーンと私は激しく愛し合った。 ディーンは以前と変わらず私を求めてくれた。 私はもう『マイアミでのディーン』に拘りは無い。 隣で安らかに眠るディーンの寝顔を見ながら、これからもディーンの力になり、恋人として過ごせる日々に思いを馳せるカスティエルだった。 【エピローグ~ロウィーナの場合~】 ロウィーナは秘書とタンゴを踊った後、ジャクジーにゆっくり浸かり心地良い疲労感を感じながら年代物の赤ワインを飲んでいた。 サム達にディーンが連れ戻されるのは当然だど私も思っていたのよ? なんたって家族なんだし。 それにしてもホレイショ・ケインが昔助けた、あの双子の母親の申し出には驚かされたわ~。 『ケイン警部補は自宅に匿っている証人を愛している。 どうか幸せにしてあげて欲しい。 今年は50万ドル上乗せするから』 って、どうやって情報を掴んだのよ!? お金と権力を持った人間の能力は凄いと再確認させられたわ…!! でも私は天才魔女だから、ホレイショ・ケインの『幸せ』とは何かを考えてきちんと行動したの。 ホレイショ・ケインを侮ることも絶対しなかった。 ホレイショ・ケインがインパラから私を突き止める事もちゃんと計算済み! イギリスに行ったのは私の分身と本物の秘書。 勿論、ホレイショ・ケインに裏を取られても良い様に、イギリスに行った事実が必要だからよ。 私は身を潜めて事の成り行きを見守っていた。 そしてサム達のプランB案を知って、ホレイショとディーンが結ばれたのも知って、ディーンがサム達の元に戻る潮時だと思ったの。 だからディーンがマイアミから消えた後、ホレイショ・ケインのスマホに魔術を使ってメッセージを送った。 たった一行『D カンザス レバノン 酒屋』とだけね。 これだけでもホレイショ・ケインなら理解してくれると確信があったから。 そして私の確信通りだった。 ホレイショ・ケインはレバノンの酒屋に白百合の花束を送った。 だから私は白百合の花束に魔術を掛けた。 ディーンが白百合の花束を手にした瞬間に、マイアミでの真実の記憶が蘇り、ホレイショ・ケインの愛が伝わる様に。 でもその魔術はディーンがホレイショ・ケインを愛していなければ発動されない。 ま、当たり前のフォローよね。 そして魔術は発動された。 ディーンもホレイショ・ケインを愛していたの。 でもディーンはだからと言って、必死に自分を取り戻そうとした『家族』を捨ててまでマイアミに戻ったりしない。 何も書かれていない絵葉書を送るなんていうディーンらしからぬロマンチックな方法を取った時、私は感動したのなんのって…! それもマイアミで家族やハンターとしての義務なんてものに…そう何にも縛られず、ただの一人の人間としてホレイショ・ケインに愛され、愛したことが幸せだったからなのよね…。 分かるわー!! あとジニーって男との友情も、ディーンにとっては初めての大切な人と人との繋がりだったのよね…。 私の強力な魔術はキャスにも絶対に気付かれないわ! クラウリーごときは問題外。 ホレイショ・ケインがレバノンに白百合の花束を送り続け、ディーンはホレイショとジニーに絵葉書を送り続ける…愛し合う二人の間に邪魔者は要らない。 キャスを裏切ってる訳じゃ無いしね。 マイアミに居たディーンとハンターのディーンは愛する心が別人なんだから。 でもいつかディーンに教えてあげたいわ。 あの朝、窓辺に立って朝日を浴びていたディーンをホレイショ・ケインが、光に溶けそうな美しい妖精のように思ったことを。 『儚く、美しい、何か』のせいでね…。 そしてロウィーナの空のワイングラスが、そっとバスタブの縁に置かれたのだった。 切ないカチンという音と共に。 ~fin~

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