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Love Memories:仕組まれたミッション

 高校生活……いいや生きていて、こんな恥ずかしいことは、もうないって思いたい!  僕に向けられた好奇の視線が、痛いくらいにぐさぐさっと刺さってくる。  特に吉川――そんな食い入るように見ないでほしい、死にそうなんだけど。  んもぅ普段しない恰好だから、どんな風にしていればいいのかさっぱり分からず、女子みたいにもじもじしてしまった。  まずは、どうしてこうなったのか。30分前に、話は遡る――理科室を借りて集まった面々。黒板には大きく、 『今年こそは、内部活をやり込めよう!』  なぁんて、意気込み溢れる言葉が書いてあった。  僕の通ってる高校の学園祭には、外部活VS内部活という対決がある。文武両道を掲げた校風なれど、数年前に教頭が起こした事件でイメージダウンした(落ちてたまるか参照)  それを払拭すべく広大な敷地をふんだんに使い、内外でたくさんの部活動をさせ、やれ甲子園だインターハイ出場だ、全国大会出場等など常連校にのし上げたのは、お金持ちの理事長のお蔭であった。  その理事長が考え出した、外部活VS内部活の対決。  外で部活動をする僕たち。 (野球部・サッカー部・陸上部・弓道部・テニス部)  校内で部活をする内部活。 (バレー部・バスケ部・バドミントン部・卓球部・放送部)  上記の部活に所属している引退する3年生の有志が集まり、学園祭で出し物を競うのである。  勝敗を決めるのは在校生の投票数で、勝者には理事長にどんなものだろうが、お願い事を聞いてもらえるのだ。  汗水垂らして一緒に部活をした後輩に、何かしらいいものを残したいと、引退する先輩として必死になる。  しかしここ2年ばかり外部活は負けが続いていて、卒業していった先輩方に敵をとってくれと、涙ながらに頼まれていた。  出し物にもよるけど、奇抜さや洗練さ・面白さなどトータルがいいものでなければ、在校生から票が貰えないのは分かっている。 (だからって、どうして僕がこんな恰好に……)  そんでもって外部活のリーダーは、野球部のキャプテンと決まっていた。そのリーダーが中心となり、それぞれの意見をまとめて、出し物を決めていく。  ちらりと野球部のキャプテンを見ると、隣にいる副キャプテンの淳くんにべったりしていた。淳くんの隣には部活に入っていない大隅さんが、なぜだかちょこんと座っている状態。  ――恋人特権で、この場にいるのか!?――  しかもそのことに誰もツッコミを入れないのは、その光景が見慣れてしまったからだろうな。常に隣にいるもんね……というか、ツッコむだけ野暮な話って感じか。 「さてさてノリトの格好を見て、みんな驚いたでしょー」  キャプテンじゃなく、淳くんがいつの間にか主導権を握りしめて話を進めていく。机に頬杖をついて室内にいる外部活の面々の顔を、じっくりと見回していた。

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