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第48話(蜜月編)
色づいた吐息交じりの言葉に煽られて、身体中の血液が更に一点に集中するのを自覚した。
「うつ伏せになって呉れ」
自分の声が欲情のせいで掠れて居る事を自覚した。
彼は頷き、言われたままに身体をしなやかに反転させる。
両手で彼の秘められた場所を開く。
自らの露で既に少し潤っている侵入口に舌を這わせると、甘やかな期待からかそこが微弱に震えた。舌を驚かさない様に進入させる。
彼は枕に顔を埋めたまま僅かに腰を上げた。愛撫を待ち望んでいるかの様に。顔を離し彼の腰骨を両手で掴み促すと彼の身体は従順に動き腰だけを上げた扇情的な姿に成る。
白い肌に肩甲骨がはっきりと浮き出て、キリスト教の彫刻にある、あたかも翼の取れた天使のごとき姿が印象的だと思ったのは刹那だった。
もう待ちきれず、彼が苦痛を感じない様に舌で彼の秘められた場所を少しでも綻ばせる様に熱心に解すのと同時に彼自身を手で愛する。
両手を動かすと、彼の全身が痙攣し連動して舌も締め付けられる。もっと…と言いたげに彼の腰が押し付けられる。
もう大丈夫かと周辺に舌を這わせながら右手の中指を一本挿れた。
彼の一番敏感な場所は知っていたので、そこを押すと痙攣の波が一際大きくなったかと思うと同時に彼自身も指を締め付けたまま絶頂を迎えた。左手は添えたままだったので、彼の白い液体が指をしとどに濡らす。
濡れた手を利用して、彼の絹の様な内部を蹂躙する。一度極めた後だけに、彼の身体は弛緩して居た。
それを利用して両手の指で内部の感じる場所とその周辺…そして奥まで指を這わせた。 枕越しさえも聞こえる彼の熱い吐息がだんだんと切羽詰って来る。
自分もそれに誘われて、余裕など全く無くなる。
「挿れて…良いか」
以前より掠れた声で聞くと、彼が頷くのが後ろ髪で判断出来た。ただ、指とは比べ物にならない物を挿れるのは彼の負担になるので、先端だけをそっと含ませた。
先端で先ほど彼が顕著に反応した箇所を突くと、痙攣している彼の身体がベッドから浮き上がりもっと深い結合を望んでいるのが分かった。
一息に深くまで突き入れる。お互いの身体がぶつかり少し湿った音を立てる。すると、彼の身体の痙攣が内部と連動して熱く狂おしく自分を包み込んで呉れる。
このままでは直ぐに果ててしまいそうなので、一旦は身体を戻し、浅い場所まで退いた。
片桐は、枕から少し顔を離して甘く哀願する口調で呟いた。
「さっきのを…もっと…っ」
そう言うと羞恥心からか、また枕に顔を埋める。
自分ももうそろそろ保たない事を自覚して、一気に奥まで貫いた。そして直ぐに浅い場所へと戻る。
奥まで貫いた時に、彼の全身は風に煽られたしなやかな若木の様に反り返り肩甲骨がくっきりと見えた。
そこにも口付けを落とした。彼の内部は内部それ自体が意思を持っているかの様に絹の様にひたりと纏わりつき、放すまじとして居る。
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