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第71話(蜜月編)

 そう言って少し顔を上げた彼の瞳に涙が零れていた。紅く紅潮した顔に涙の雫が零れている様子は、赤に近いピンクの薔薇の花弁に露が宿っている様に見えた。  彼の内部を慮りながら強く突き上げると彼の身体が強風に煽られた若木の如く大きく痙攣する。勿論自分をひたりと締め付けている温かい絹の様な場所も離すまじとでも言うように緩急をつけて自分を放さない。  二人分の汗が身体の表面をしっとりと濡らす。どちらの汗かはもう分からない。  少し身体を離した。そうしないと自分も彼の誘いによってもう少しで頂点を越えそうな予感がした。  彼の身体は何処もかしこもピンクに染まっていたが、一点もっと濃い場所を見つけた。  彼の胸の尖りだった。 「ここも感じるのだろうか」  頭の隅でそう思い、そっと右の尖りを触ってみた。そこは石の様に硬く成って居る。触ると彼の身体が跳ねた。  こういう所も感じるのかと思い、彼の内部に自分を挿れたまま右は唇でそっと啄ばんだ。左は手でゆるゆると円を描くようにした。  彼は見も世もない風情で、顔を隠す事も忘れシーツを掴んで歓喜の涙を零している。  腹部に当る彼の一部は自分の出した白い液体と共に新たなる露を含んでいる。自分が胸に触ると、その露も涙と同じく量が増える。  彼は顔をシーツの上で左右に振っていた。少し湿ったシーツに彼の髪が当ってそんなに長くない髪ではあるがパサパサと音を立てている。  彼の呼吸は切羽詰ったものになり、彼から出ている雫も多くなる。  そう観察出来たのは一瞬で、自分も頂きを越えそうだった。 「お前の中に…」  そう耳元で囁くと涙で潤んだ片桐の瞳が輝いた。  緩急を伴って締め付ける力が強く成る。 「早く…っ」  それだけ言うと、湿度を増した呼吸を零す。  大きく彼の内部を抉ると、彼は声にならない悲鳴を上げて、全身を震わせた。同時に欲望を解放させる。同じ時に自分も彼の内部に思いの丈を放った。  片桐の身体の負担にならない様に気をつけて、彼の身体の上に身を落とした。繋がったまま。  二人して息を整えているとお互いの体液が混ざり合う。  丁度自分の唇は彼の鎖骨の上に来ていたので、思いきり吸引する。  すると、彼の身体は仰け反った。そして、内部も収縮を始める。 ――まだまだ、終われない、いや、終りたくない――  彼を抱くと、海水を飲んだ時のようにもっともっと欲しくなる。  片桐が呟いた。何を言っているのか分からなかったので、顔を移動させる。 「今日は、ずっとこのままでいたい」 「このまま…というのは、ずっと繋がっていたいという意味か。それともこういう行為をずっとという意味か」

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