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第73話(蜜月編)
上気した肌に白い粘度の有る液体…自分の物も有るが、彼の物も有る…が飛び散って居る様子はあたかもピンクの薔薇の花弁に真珠が散って居る様だった。
その様子に脳が痺れる程、彼の事が美しいと思った。否、外見だけでなく魂までも。
充分に彼の内部は解れて居るようなので、大きく蹂躪する。
彼は息を飲み、身体を震わせた。また痙攣が始まった。弱く強く彼の内部が心地よく締め付ける。
より深く彼の内部に入る為に腰骨同士を打ち付ける様に身体を動かす。
彼自身も液体を絶え間無く零している。自分もあまりの気持ち良さに長くは持たないのは分かっていた。
「達して良いか」
そう耳元で囁いた。
「オレもっ…もうっ」
喘ぎ声ともつかない声がして、彼の身体が一際大きく震えた。同時に頂点を極める。
彼の身体に体重を掛けない様に気遣って、脱力した肌を合わせた。
呼吸が回復するのを待って、耳元で囁いた。
「今夜はずっと、こうして居ると約束した」
「ああ、ずっとオレの中に」
一旦繋がりを解き彼を横臥させた。繋がりを解く時、彼は少し不安そうな顔をしたので口付けを送った。
「右足を俺の腰の上に置けるか」
言ってみると、ただ頷き言うがままにする。
この体勢の方が楽な筈が、多分。
先程の余韻で彼の内部は自分が入って行こうとするといつも以上にすんなりと迎え入れられた。
お互いの体液が混ざり合った状態だったが、不快感は無く、ただただ一体感を感じていた。
片桐の顔を覗き込むと彼も充足した表情をしている。
彼の唇を奪ったり、幾分湿った髪を撫でたりしていた。
彼の魂に一番近い場所に長く留まって居られる事に幸福を感じる。
やがて、彼の安らかな寝息が聞こえて来た。
そっと唇に口付けを落とす。
この時間が長く続けばいいのに…とそれだけを願っていた。
翌朝はドアのノックの音で目覚めた。
横には満ち足りた表情の片桐の寝顔が有った。いつの間にか腕枕をしていた様でしびれて居る。しかし、それよりも感じたのは彼の体内に留まっているものだった。心地よく締め付けていてくれる。
彼は当然、無理な体勢で眠っていたに違いない。
昨夜はお互いが本能のままに振舞ったので、今朝はそのツケが特に彼に振りかかっているのでは無いかと案じられた。
一晩繋がっていた部分をそっと抜き出す。眠りの国に居る片桐の無意識の動作だろうが、惜しむような動きを見せてくれた。
その後彼の目蓋が開く。自分の姿を認めると、無邪気ながらも色香を纏っている微笑みを浮かべた。
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