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エピローグ
(……チュンチュン)
「ふわーっ、よく寝たー」
小鳥の囀 りで目覚めた日曜の朝。
「……ん? あっ、そっか」
俺の胸に埋もれ、安らかに眠っている愛しい人。俺は、その天使のような小悪魔の顔を見詰めた。
(思えば、課長が部屋 に泊まるのって初めてだよなあ)
昨日の課長の恥態を思い出して、ちょっとにやけながらパソコンへと向かう。
『メール着信:2件』
(……誰だ?)
件名:はろはろ~♪″
本文:小百合お姉様ですよん☆
今夜、泊まりに行ってもよい?
(^_-)-☆
(やばっっ !!)
俺は急いで日下部さんからのメールを削除した。彼女は大人だから、俺の了解を得てからしか来ないから有り難い。
で、もう1件。
件名:晴香です
(……え? 晴香ちゃん? 俺、晴香ちゃんにアドレス教えてねーぞ??)
『開封』
本文:昨日はごちそうさまでした♪
すんごく美味しかったです☆
(≧∀≦)b
実は、パパのパソコンからメアドを盗んでメールを送ってたりwww
あのね?
私、長谷部くんのことが好きになっちゃったぁ(テヘペロ)
お料理が上手な人に悪い人はいないんだよー。
だからパパに宣戦布告!
起きたら伝えてね?
_(:3」∠)_
★haruka★
「…………」
俺はしばらく固まったまま。殊 の外 、天然娘の思考回路の分析に手間取った。すると、
「あっ。晴香、ずるーい !!」
突然後ろから声がして、逢坂課長が抱き着いて来る。それから頭に顎を乗せて来た。
(ちょっ、何やら固いモノが背中に当たってるんですけども……)
「長谷部君は僕のもんだもんねーだ」
「……課長、服を着てください」
「や。久しぶりに朝勃 ちしちゃった」
「…………」
「ねっ? しよ?」
娘の宣戦布告を物ともしない天然小悪魔さん。課長、昼から会議だって言ってませんでしたっけ。
無邪気に俺のジャージに手を突っ込んでくる小悪魔さんに、悩みの種が増えたことは言えなかったわけで……――。
2005.10.17.完結
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