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プロローグ
乱暴に引っ張られた服から、ボタンがはじけ飛んでいく。
押さえられ見動きが取れなく、覆いかぶさった相手の体温熱さと荒々しい息に吐きそうになる。
怖い。――怖かった。
でもそれよりも、姉さんの幸せを奪ってしまうのだけは嫌だった。
暴れて暴れて逃げて、気づいたら行く当てが無いことに気づいて途方にくれた。
大切にしていたピアスが片方、暴れた時に無くしてしまったようだが、もやはもうそんなことはどうでもいい。
居場所がどこにもなくなってしまったんだ。
空の星が落ちてきそうに綺麗な夜に相応しくない、忌まわしい思い出。
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