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第20話 トロットロで

 両手で胸を頑なに隠してた手を離して、ピンク色を見せつけて。 「お尻のとこで、するの、知ってます」  なんて言われて、冷静でいられる奴なんていないだろ。 「わぁぁぁぁあ!」 「頭、ぶつけないように気をつけて」  抱きかかえるとびっくりしてた。 「あと、暴れないで」 「ちがっ、ぁ、あの、かうぱが、付いちゃう、から」 「あぁ、いいよ。別に。ちゃんとつかまって」  思わす笑っちゃったじゃん。まさかそれを気にしてると思わなかった。律儀にカウパーが服に付かないよう、身悶えてるなんて。  だから、服にあえて付くくらいに、しっかり抱きかかえなおして、腰を引き寄せるとクチュリと甘い音がした。恥ずかしそうに唇をきゅっと結んで耳まで真っ赤になったこの人をかまわず抱き上げて、そのみぞおちに歯を立てた。小さく上がる甲高い声に肌へのキスが止まらなくなる。  かかえたまま部屋へ行き、ベッドに下ろすと半裸の自分をどうしたものかと白い手で口元を隠してた。 「つ、付いてます。あの、服に僕のかうぱ」 「気にしないってば」 「……」 「セックス、するんでしょ?」  半裸でカウパーでトロトロで、どこもかしこもピンクでやらしいこの人をベッドに寝かせて、覆い被さるように手をついた。 「今から」 「……」 「俺と、セックス」 「……」 「カウパーだけじゃなくトロットロになるよ?」 「……」  セックスって、えぐい行為だと思わない? あられもない格好して、ドロドロになりながら、口で、手で、身体の奥で繋がって、貫いて、体液が混ざり合うんだ。 「あっ、乳首っ……ンン」 「硬くてコリコリしてる」 「んんんっ、言わない、で」  舌で濡らして、硬さが本人にもわかるように押しつぶすみたいに舐めて、口に含んで転がした。気持ち良さそうに硬くなった乳首を摘んで、たっぷり濡らす。白い肌はちょっと吸っただけで赤い印がくっついた。乳首の周りにいくつもそれをくっつけてると、手が俺の頭をまさぐる。  たまらない? 「気持ち、いい、先生の舌で」 「……」 「舐められると出ちゃいそ、あぁっ!」  頭を抱きかかえるこの人をじっと見つめながら、胸のところ、普段は隠れて引っ込んでいる小さな粒に歯を立てて見せた。見えるように首を傾げて、犬歯で乳首の尖ったところを齧りながら、もう片方の乳首を爪の先でカリカリ引っ掻く。  好きなんだ?  これ。 「ね? トロットロ」 「ひゃぁ……ぁ……ン」  ペニスから溢れて止まらないカウパーを手に塗ってそのまま筒の形にしたその掌でピンクを扱くと、腰を浮かせて身を捩る。 「あ、の……大須賀先生の、も?」 「?」 「僕のと、混ざって、トロトロになってください」 「……」  お互いにいやらしい格好も、はしたないとこも、えぐいとこも全部見せ合って繋がって掻き混ぜあう。不恰好で、必死で、無我夢中でさ。ドロドロになる。 「大須賀先生、と」  ちっとも綺麗じゃないんだ。セックスって。 「セックス……したいです」  お花が舞って甘い香りに包まれるようなものなんかじゃない。ゾクッとするほど熱が混ざり合ういやらしい行為。 「したい、です」  それをこの人としたくて、腹の底がどうしようもなく熱ではちきれそう。そんなふうにたまらない熱を持て余してるって知らずに、この人は俺を困らせる。  ねぇ、はちきれそうなんだって。  欲望が溢れて、止められなくなるんだってば。 「大須賀せんせ……っ、どうしたら、いいですか? あの、僕のお尻」  だから、どうか、俺のこと困らせないで。 「僕のお尻の孔に、ちゃんと、入り、ます?」  そんなこと言って、煽ったりしたら、ダメだよ。ねぇ、純朴先生。 「先生の……」 「あっ……ン」  全身にキスしたい。 「ひゃぁ……ぁン」  舐めてしゃぶって、蕩けるくらい。 「ぁっン……ン」  この人の全部に口付けさせて。 「あっあ、ぁ……ぁン」  うなじから鎖骨、胸、乳首、肩も、脇腹も、へその窪みにもキスをして、唇が触れる度に零れる甘い声と一緒にピクンと揺れるピンクペニスを扱いてあげた。つゆだくで、くちゅり、とろりって、手の中がびしょ濡れになるカウパーまみれのペニス。 「ぁ……それ、ダメ、そこ、しちゃ、や」  小刻みに括れを扱いてあげると、腰を浮かせて、快感に背中を反らせる。 「ンっ……ふっ……ン、ん」  この前、酔った勢いで抜き合いした時、手の中で気持ち良さそうにしてるこの人にキスしたくてたまらなかった。 「ンんんっ」  舌を差し込んで、唾液を流し込んで、飲んでしゃぶって、舌を甘噛みして、唇に齧りつきたかった。今、そんなキスをして、この人はピンク色をした部分を全部濡らしてる。ペニスも、乳首も、唇も。 「気持ちイイ?」 「ン、すごく」  乱れた呼吸にすら興奮する。生真面目で、可愛くて純朴なこの人の吐息の艶に、やらしい声に。そして、それを知ってるのは俺だけってことに。 「大須賀先生の手、大きい」  ただその一言に、誰と比べられているのかと、ヤキモチを膨らませてしまうくらい。 「僕の手と、全然違ってた」 「……」 「あの時、酔っ払って、マッサージ以上のことをしてもらった時、大須賀先生の手が大きくてドキドキしたんです」  この手? 「気持ち良かった……」 「……」 「自分でするときと全然違ってた」 「……」 「また、してもらえて嬉しくて、おかしくなりそうです」  この手? 「好き、いっぱい、触って欲しいです」  ぎゅっとしがみつくこの人をこの手で引き寄せて、抱き締めた。 「触って、ください」  薄い腹を撫でて背中を丸めた。 「あンっ」  下腹部にキスをするとカウパーがまた溢れてきて、へその括れに蜜溜まりができてる、そこにもキスをして、この人のペニスの根元にも。 「いいよ、触ってあげる」  口を開けて、カウパーまみれのペニスを口に。 「ぁ、あ、あ、あぁぁぁあ! あ、嘘、そんなとこ、舐めたら、汚い、ですっ」  猫っ毛だけど、ここの毛もふわふわの猫っ毛なんだ。すごく薄くて柔らかいだろう、今はびしょ濡れの毛にもキスをして、ペニスの先を手の中で撫でて、その根元に吸い付いた。 「舐めるよ。全部」  カウパーまみれのそこを隠そうとする手にもキスをした。 「セックス、するんでしょ?」  太腿の内側、白い柔肌にもキスをして、歯の切っ先を突きたてる。  ちっとも綺麗じゃない。お花が舞って甘い香りに包まれるようなものなんかじゃない。セックスって、トロットロに熱が混ざり合う、ひどく卑猥でいやらしんだよ。 「俺と貴方で」  セックスってさ。

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