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第52話 陥没乳首は美味しいです。

「くれるって、言ったじゃないですか!」  鼻の穴、でかいから。 「くださいって、言ったら、くれるって言いました、もんっ!」  でも、どんな顔でも可愛く見えてきた。鼻の穴がめちゃくちゃ広がってても、ほわほわの髪がぼさぼさになって駄々を捏ねてても。全裸で、本当に丸裸のすっぽんぽんで、真っ白でふんわりピンクも混じるぷりケツ丸出しなのに色気皆無。子どもみたいに俺に抱き付いてきても。 「僕がするんです!」 「いや、いいって、あのさ……」 「します! ふぇらちお!」  めちゃくちゃ、ふつううに大きな声で「ふぇらちお」言われて、その拍子に、絶妙なタイミングで眼鏡がズルリと鼻先を滑っても。 「ダメ、ですか?」  なんだろうね。この人は。 「僕がへたっぴだからですかっ?」 「いや……そういうことじゃなくて、男のなんてしたことないでしょ? けっこう抵抗あるかもよ?」 「ないです! というか、男性どころか女性ともしたことないので、男の、なんて言われてもわかりません!」  元気に断言しないでよ。なんでこれからセックスするっつうこの時に、キリリと凛々しい顔でさ。 「したいです! へたっぴですけれどもっ」 「下手だから、とかじゃないよ。ただ、たぶんさ」 「?」 「いいよ……ぜひ、お願いします」  下手だから遠慮しているわけじゃない。男にするの初めてっていう心配はあるけど、それが主な理由じゃなくて、たまらなく可愛くてさ。だから、たぶん、そう持たないからって思っただけなんだ。 「んっ……ン、ふっ」  したことなんかない、たどたどしい舌使い。けど、たまんない。 「ンんっ……く、ン」  俺が君にしてあげた気持ちイイことを一生懸命真似してるのが、すごいやばいくらいで。 「ん、ンン」  そこ、好き? カリ首んとこを唇で小刻みにするの。じゃあ、今度もっとしてあげる。 「慶登」 「ん、んむっ……ン」 「マズくない?」 「ン、んーん」  そう? 同じ男のだよ?  慶登が口を離して、じっとこっちを見つめた。大きな瞳に、眼鏡を外すとよくわかる長い睫毛、見つめられるとさ、ちょっと柄にもなくドキドキするんだ。 「あんまり、ですよね。僕、初めてだから、へたっぴ、ですよね。あの、保さんの真似をしてみたんです。僕がいつもしてもらえる気持ちイイことをしてあげたら、ちょっとは気持ちイイかなって」  好きな子に見つめられたらさ、やっぱ、するでしょ? ドキドキってさ。 「気持ちイイよ。いっつも」  目が合ったら胸が高鳴る。言葉を交わしたら、その日一日はラッキーデイ。そんな感じ。 「恥ずかしいけど、もうギリギリ、もう……イっちゃいそう」 「!」  見つめられただけでもう有頂天になるくらいの恋をしてる。 「っ」  嬉しそうにまた一生懸命に咥えられて、喉奥で息がつまるほど。気持ち良くなって欲しいって、舌で唇で、甘く蕩けるキスをくれる。好きな子にこんなことされたらさ、たまらないでしょ。 「慶登」 「ン?」  真っ赤になって俺のを小さな口で咥えてる。いっぱいに口に含んでくれるその頬を掌で包んで、背中を丸めた。  別に誰も、俺たち以外には誰もいないけれど、それでも君にだけ伝わるように、こっそりと告白した。 「どっかいったりしないでね」 「……」 「ずっと、ここにいて欲しい」  情けないけどさ、心からそれを願ってしまうほどぞっこんなんだ。 「い、います!」  背筋を伸ばし、はっきりしっかりそう宣言をした。ピンと伸びた姿勢に、ぴょんと跳ねた猫っ毛。それと、真っ赤なほっぺた。 「僕のこと全部あげるって言ったじゃないですか! 返品不可です! なので、あげます! 全部! あげます!」  あぁ、ホント。 「全部、あげますってば……」 「うん」 「大好きです。保さん」 「俺も」  唇の端が唾液で濡れてて、それを指で拭ってあげる。そっと両手を頬に添えて、一生懸命フェラをしてくれた小さな口にキスをした。 「保さん」 「……」 「全部あげるので、早く、もらってください」  抱きつかれて、ちゅって、君が俺にキスをする。可愛い音とそれからふわふわ猫っ毛がやっぱりくすぐったくてこそばゆくて、俺は好きな子を独り占めしようと、両手できつく抱き締めた。 「慶登」  コテンとベッドに寝転がり、そっと自分の白いお腹を撫でる仕草に煽られる……なんてこと、慶登はきっとわかってない。今からそこを全部抉じ開けられるんだって、まるでそれを待ち望むような仕草に、クラクラする。 「ン……保さん」  額に、唇に胸に、キスをしながらゴムをつけて準備をしようとした時だった。 「今日、だけ、でもいいので、このまましちゃ、だめですか?」 「……慶」 「僕に全部くれる、ン、でしょ?」 「いや、あのさ、これは妊娠がどうとかじゃなくて」 「僕、欲しいんです」  首にしがみ付いて、頬に、耳に、なんか、顔じゅうにキスをされた。 「悪い先生なんです。独り占めなんてよくないし、こういうことをするのにコンドームはマナーなんですよね」  そして、両手で包むように引き寄せられて、唇にそっと唇が触れた。 「保さんが、欲しいんです。全部、欲しい」 「……」 「ください」  やばいってば。あんまり煽らないで。 「全部くれないと……僕が奪っちゃいますよ」  童貞なくせに、彼女なんて今まで一度もいなかったくせに、年上の、しかも憧れてたらしい職場の同僚を脅して自分の乳首をマッサージさせるような悪い先生なんだから。そう言って俺を押し倒すと、その上に跨り、きゅっと唇を結んだ。 「あっあっンっ……保さんの、熱いっ」  初めてなくせに。 「あ、ぁ、あっ、んっ……ぁっ」  自分から挿れて、気持ちイイって蕩けた顔をする、凶悪的に可愛い先生なんだから。 「ン、保さんの……すごイッ、ぁ、ど、しよ、ン、ぁっ……ン」  ねぇ、ホント。 「慶登、エロいね、自分で挿れて、腰揺らしてる」 「ン、だって」  口元に手の甲を押し付けて、いつもと違う挿入感に身悶えて。 「保さん、の、すごい、熱くて、あっ、ン」  ゆらゆらくねくね腰を揺らしながら、ピンと先まで勃ったペニスを俺の腹に擦り付けて、蕩けた表情をして。 「かうぱ、出ちゃうっ、ン、んんんんっ」  亀頭を掌で撫でてあげると、小さく初心な孔をきゅんと締めてさ。ホント。 「あぁぁぁぁっ」 「慶登の騎乗位って、エロい」  たまんない。 「気持ちイイ?」  下からクンと突き上げると、背中を反らして、ピンクの乳輪を見せ付ける。 「ぁ、あっン……ン」  孔を窄めて、中でねだらないで。 「ぁ、あっ」  ピンク色で誘惑しないで。 「あ、保さん」  きゅんってされたらさ。 「ここも、して、ください。僕の陥没乳首、舐めて、可愛がって」  自制とか、効かなくなるから。 「ン、あ、あぁあぁあっ、ン」  起き上がって、君の細い腰を抱きかかえ、小さな尻たぶを掌で掴んで割り開く。根元まで慶登の中に全部捻じ込んで。一番奥のところまで、挿れさせて。 「あ、あ、あっもっと、欲し」  抉じ開けて、ねぇ、奥のとこまで俺を挿れさせて。ここ、前立腺もしてあげる。 「んんんんっ」  淫らに揺れる細い腰。きっと白い肌には指の痕がついちゃうかも。 「ぁ、あっ」 「慶登」  名前を呼んだだけで中がしゃぶりつく。 「ぁ、ンっ」 「っ」  前立腺を擦ってあげると声が甘くなって、すごいんだ。 「ぁっ、ん、食べて、ください」  やらしくて、スケベで、素直で。 「僕の陥没乳首、ぁ、あぁンっ」  とてつもなく可愛いこの純朴先生が。 「好きだよ。慶登」 「ぁ、ぁ、アッ、ん、ぁ、イくっ、イくっ、イっ…………」 「っ」  たまらなく好きで、もう、蕩けそうなんだ。 「あっ…………ぁ、ン、保、さん」  ぎゅっと抱き締めたまま。 「ン、まだ、中」 「っ、慶登の中、すごいよ。気持ち良くて、止まんない」 「だって」  へたっぴなキス。鼻がぶつかってしまうような正面衝突みたいなキス。けど、世界一気持ち良くて。 「嬉しいんですもん」  煽られまくってる俺は全然、萎えそうもない。 「っ、ン、ぁっ……ン」 「っ」 「僕の……」 「林原先生はお行儀が悪いね」 「はい。憧れの人を脅して、陥没乳首、マッサージさせちゃう悪い先生ですから」  抜いちゃダメ?  ダメです、って恋人を羽交い絞めにしちゃうお行儀の悪い足の思うがままだ。俺を足で引き寄せるこの人に掴まって、どはまりで、笑顔で甘いキスをする。 「あっン」  そして、顔を出した可愛い小粒にも甘い甘いキスをした。

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