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ダンジョン編―大賢者ヒュー― 第9話※
少しづつお互いの話をした。お風呂に入って、エッチにいたるまでの間。
エッチが終わって寝入るまでの間。
抱きあって、キスを交わして、髪を梳いたり、頬をすり寄せたり。
メルトのいい匂いを嗅ぎながら首筋に顔を埋めるとか。
そんな風に「いちゃいちゃ」しながら話をした。
「へえ、そんな子供のころから騎士を?」
ベッドに横たわって、片肘をついて頭を支えて、上になった手はメルトの頬を撫でる。
メルトは俺の方を向いて、眠そうな目をしながら、ぽつぽつと話した。
「新年に、王都の道を、馬に乗って正装で行進するんだ。初めて見たとき白銀の鎧がかっこよくて、憧れた。それが8歳のとき。12歳で見習いの試験が受けられるから、それまで頑張って勉強して一回の試験で受かった。」
目をきらきらして話すメルトは可愛くて思わずチュッとキスする。そうすると目元が染まって、ますます可愛くなる。
「……ヒューは、何かとキスをする…」
恥ずかしげにいう姿も可愛くて、引きよせて抱きしめた。
「したくなっちゃうからね…ダメなの?」
顔を覗き込んで見つめる。メルトの目が泳いで、更に赤くなった。
「…ダメじゃないから、困る…」
チュッとまたキスした。
「なんで困るの?」
抱きよせたメルトの背をゆっくりと撫でた。
「…気持ちいいから、困る…」
眉を寄せて本当に困ったように言うから可愛くてくすくす笑った。
「俺も気持ちいいし、好きだって思うからキスするんだよ?でも、そんなに困るなら、キスは俺、我慢したほうがいい?」
メルトが真っ赤になる。俺に回された手に力が入った。赤い顔のまま困ったように目が泳ぐ。ああ、可愛い。
「…我慢しなくていい…」
またチュッとキスした。
「好きだよ、メルト…」
唇を触れながら囁くと、目をうっすらと開けたメルトが嬉しそうにしながら答えてくれる。
「…俺も、好き…」
今度はもっと深いキスをした。
距離を詰めるから無理しない、と思ってからのエッチは主にメルトの開発に専念した。どこもかしこも、感じるところになって欲しいと、魔力を吹き込みながらキスをして、前も後ろも弄った。メルトは快感に素直で、弱い。乱れる色っぽいメルトに俺は夢中になった。
俺はメルトをイかせるほうに専念しすぎていて、自分の方は二の次にしていた。最悪メルトが寝てから自分で抜けばいいと思ってた。だから、メルトから反撃を食らうとは思ってなかった。
「ヒューは、気持ちよくなってない…」
不満げに呟かれた。メルトを宥めるように髪を梳くようにして撫でた。
「メルトが感じてると、俺も気持ちよくなってるよ?」
もう少し、慣れてもらってから、気持ちよくしてもらうつもりだし、と思ってそう返すと、眉が寄せられて、不満げに口を尖らすメルトがいた。
え、なんで?
「俺が気持ちよくする。」
メルトは俺のを握り込んだ。思わず反応して俺のは堅さを増した。
「メルト?え?」
メルトが俺のを扱いてくれる。メルトにしてもらっている事実に俺のモノは素直に涎を垂らした。
「俺ばっかりじゃいやだ。」
そっか、俺はメルトが慣れてないからってメルトの気持ちを置き去りにしちゃってたか?エッチはお互いが気持ち良くならないといけないんだよな。
「わかった。じゃあ、俺は座ってるから、メルトが気持ちよくしてくれるかな?」
起き上がって座って足を広げるとメルトが正面で四つん這いになった。
うわ、ちょっと興奮する。
メルトが俺のを見ながら扱き始めると堪らずますます俺のは猛った。手でだけだと思っていたら舐められた。
舐めた!??え、ちょ、メルト!??
メルトのフェラはたどたどしいけど、俺の真似をしてるように思えた。メルトに追い詰められてあっけなく俺は白旗をあげる。
「く…メルト、…俺、…イキそう…」
そう訴えるときつく吸われて俺はあっけなく果てた。メルトにイかされた。うわー、なんか、感無量。嬉しいと恥ずかしいと、なんだろう。やっぱり愛しい、かな。
強要したわけじゃない。
メルトが俺を思ってしてくれたのが凄く嬉しい。
メルトが精をすべて舐めとってくてからぼそりと呟いた。
「…美味しかった…これって美味しいんだ…」
ああ、誤解するといけないからちゃんと言っておかなきゃな。
「いや、本当は臭くて苦いはずだけど…俺とメルトって魔力の相性が凄くいいから、お互いのが甘く感じるんだと思う。」
きょとんとするメルトは可愛い。
「魔力って人それぞれ波長が違っててね?相性があるんだよ。支援魔法をかけると効果に差が出る時があって、人によっては拒絶反応を示して他人からの魔法を受け入れないこともあるかな?子種は魔力の塊だから特に感じるのかもしれないね?」
メルトの顔が驚いた顔になる。はて?結構常識だと思ってたけど違うかな?
「俺、他人からの魔法、ほとんどだめだったんだけど、ヒューのは大丈夫みたいなのは、相性がいいから、だった?」
そうか、俺以外だめか。やばい、顔が緩む。
あんまりひどいと、回復魔法を受けて逆に体調悪くなるから、本当は厄介な体質ってことになるけど。
俺だけメルトに魔力を浸透させることができるっていうのは凄く嬉しい。だからあまり考えずに言ってしまった。
「そうか。メルトは魔力アレルギーだったのか…うん。俺とメルトは結婚したほうがいいくらい相性がいいよ。子供もすぐできると思う。」
メルトがすぐに真っ赤になった。あ。
これってプロポーズだ。ああ、ここを出てから言おうと思ってたのに。俺の馬鹿。すぐにメルトを抱き締めた。
「もちろん、メルトとは、伴侶になりたい。ここを出たら絶対迎えに行くから。それまで、待っていてくれる?」
真剣な顔で言った。メルトは真っ赤になったまま何度も頷いてくれた。よかった。
「嬉しいよ、メルト…」
何度もキスを交わして、メルトが幸せそうに俺の腕の中で眠った。
よし。もう引きこもるのはやめる。
ここを出たらメルトを迎えに行って結婚して。メルトが騎士になるのが夢だって言ってたからラーンの王都に住むか。でもどこに所属できるかはわからないか。
でもどこでもいい。どこだって魔道具は作れるし、冒険者はできる。転移魔法をつかえばどこだって移動できる。
新居を構えて子供を作って。
この世界で幸せになる。
俺、幸せになるよ。
いいだろう?
『もちろん』
夢の中でそう言われた気がした。
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