31 / 71

ダンジョン編―大賢者ヒュー― 第12話※

 虫ゾーンを抜けたらアンデッドゾーンだった。ゾンビやスケルトンは打撃の方が効果がある。核を破壊すれば倒せる。アンデッドなのに死ぬとはこれいかに。まあ、生きる屍、と言った方がいいんだろう。  アンデッドは素材の価値はあまりないから放置した。そもそもアイテムボックスに入れたくない。聖属性の浄化なら、すぐ瞬滅出来るけど、それはしない。魔法に寄らない倒し方を覚えてもらいたいからだ。  剣ではなくモーニングスター(鎖ではなくこん棒に棘のついた奴)を使ってもらった。武器全体に聖属性の付与はしたので(騎士団でもそこはするだろうと見越して)、レイスにも効果はある。  メルトはレベルが上がっていたのでモーニングスター(かなり重量があり、重心は先端にある)を軽く振っていた。ゾンビが5体まとめて吹っ飛ぶ様はメルトを怒らせないようにしようと思う瞬間だった。いや、怒らせないと思うけど。  レイスを含む混合部隊はレイスを俺が担当し、ゾンビやスケルトンはメルトがモーニングスターで斬撃を飛ばして(こん棒だよ?)殲滅してた。強くなってるなあ。よしよし。  今日はハンバーグにしよう。デミグラスで煮込んでチーズインだ。付け合わせは温野菜。ビーフシチュー風になるな。フランスパンで良いかな?デザートはフレッシュフルーツのソルベにしよう。  夕飯のとき、メルトは最初微妙な顔をしていたが口にすると目が輝いてあっという間に食べてお代わりしていた。よかったよかった。  パジャマをお互い新しいものにしたが着ているのは一瞬で夜はほぼ裸で過ごした。  まあ、俺の場合はメルトが寝た後、いろんなことをしていて(装備のメンテナンスや魔道具作成)作業着で過ごした後、改めて裸でメルトを抱いて寝ていることになるんだけれど。  日々愛おしくなって離れることができなくなるのではと思う。  声も姿も性格も全て愛おしい。  笑いかけられたら心臓が跳ねるし、甘えてくれたり、拗ねたり、鍛練をせがむ姿や戦闘中の真剣な顔、バーサーカーのような戦闘を楽しんでる姿、食事を美味しそうに食べる姿、エッチをしている時の色っぽい姿や声。  何もかもだ。  俺はつい、何かにつけて抱き込んで、キスしてしまうからメルトは時々抗議する。抗議する内容も可愛い。ドキドキするからとか、恥ずかしいからとか。  それにもう、魔力がお互いの色に混じって馴染んでいる。マーキングした状態だ。魔力に敏感な者は相手がいるんだろうと思うレベルだ。  俺は公開処刑と呼んでいる。  俺は早くから魔力視を覚えたので両親のいらない夜の情報も知っていた。まあ、前世では35歳のいい大人だったから、スルーしたけれど。  そろそろマップは埋まる。アンデッドゾーンを過ぎて竜種が出た。竜種とはドラゴン系と呼ばれる種類でドラゴンスレイヤーとはこの竜種の頂点ドラゴン種を狩った者に与えられる。  アルデリアの守護龍である古代龍は神獣で、魔物ではない。本来は聖域からでないはずだが、好奇心旺盛な精霊や神獣はたまに大陸にわたって隠れ住んでいるという。  古代龍は竜種の最高峰ドラゴンそのものの姿だった(逆にドラゴンが古代龍に似せて作られている)ため、よく冒険者や時々の国家に討伐対象にされていたらしい。  彼は基本的に神に近い存在なのでうっとしがって転移で遠いところに飛ばすくらいで殺すまではしていなかったらしい。たいていは威圧で逃げ帰るらしいし、そもそも神気にあてられて近くには寄れないらしい。  例外が勇者パーティーで勇者と俺が創世神の加護を持っていたため、接敵してしまった。俺が説得して懐柔したのだがその時俺は加護をもらった。龍の加護は竜種支配というスキルを俺にもたらした。  俺にとって竜種は敵ではない。龍の住処の近くに巣を作っていたワイバーンを使役しろとのアイディアをもたらしたのは龍の方だった。ワイバーンが鬱陶しかったらしい。  ワイバーンはヒューマン種にはA~Sランク相当の脅威で空を飛ぶために魔法を使うほか弓術士のスキルで落とす以外手立てがない。だが俺には従えるスキルがある。俺に上手く使え、邪魔だからどこかに移せと言ってきたのだった。  そこで、アルデリアの王宮に戻り龍が王族に加護を与え、そのワイバーンはアルデリアの竜騎士の騎竜になった。  以降竜種は俺にとっては美味しい稼ぎのもととなった。  メルトにあげた火竜の剣は火山に住みついた亜種のワイバーンを討伐した時の素材をもとにした剣だ。ワイバーンというよりはドラゴンに近かったのだろう。  その、竜種が出る区域は俺にとっては脅威ではなかったが、メルトは初めて接する竜種で、慎重に対応をしていた。  飛ぶ竜種は俺が力ある言葉で縛って、メルトに対応してもらった。  そうして竜種のゾーンを抜けたところはもう一本道だった。 「メルト、ステータスカード見せてもらえる?」 「うん。」  メルトは首にかけてたステータスカードを俺に渡した。メルトはステータスカードを表示させて俺に見せてくれた。自分ではよくわからないからと俺に解説を求めるからだ。 「大分レベルが上がったね。強敵にあえば限界突破しそう。メルト、ハイヒューマンになれたりして?」  実際、上がりにくくなるレベル80以降も順調にレベルをあげて、今95になっていた。ヒューマン種では最強の一角と言っていい。本人は全然自覚がないのだけれど。  確かに強さでは俺の方が上だから、模擬戦ではメルトの勝率がじりじりと上がっているところで、メルトいわく、強くなったとは思えない、そうだ。  いや、強いと思うよ。俺のレベル、1025だから。  マップに赤い光点が見えた。つい、ステータスカードを自分のアイテムボックスにしまう。 「メルト、敵だ。後ろから。」 「うん!」  そうして敵を瞬滅した後、拠点に戻った。  ステータスカードは俺のアイテムボックスにしまわれたままになった。  ほとんどの区域を探索し終えて、残すは多分、ボス部屋のみだ。上手くすれば、明日ここを出られることになる。今夜が、メルトとここで過ごす、最後の夜になるかもしれない。  ベッドで二人寝転んで抱き合う。どちらからともなくキスを交わして、お互いを確かめ合う。 「メルト…」  俺はそっと、メルトの頬を撫でた。出会ってから2週間ほど。こんなにお互いが愛しく思えるなんて、思わなかった。 「ヒュー…」  メルトが俺の首に手を回す。引き寄せられるままに口付けた。お互いに貪るように唾液を交わすキスをする。その内に俺はメルトの身体を確かめるように撫でて胸を愛撫する。  メルトの肌には鬱血のあとが散って、赤くないところがないくらいだ。俺の執着が伺える。でも、もしかしたら明日出られるかもしれない。  メルトの騎士団はけしからんことにフィメルとメイルが一緒に着替える!!そうだ。野営のテントも一緒!メイルは下着も着替えるというからそれでいろんなメイルのアレを見たことがあるらしい。  つかそれセクハラじゃね?  前世で言うなれば男女一緒に着替えさせているということで、メルトがいうにはフィメルとメイルを公平にとか言われてたらしいが、それはメイルの立場で言えることで、フィメルはきっと納得してないはずだ。  絶対メイルがフィメルの着替え見たいからそういうふうに決めたにきまってる。フィメルは言わないだろう、そんなこと。俺も納得できない。  飢えた狼の中に子羊を放り込むようなものだ。うん。ラーンに行ったら、アーリウムの王権発動しちゃおうか。紋章見せればたいていの無茶聞いてくれるよな。うん。  あ、思考が横道にそれた。それに、戻ったら医者に見せるかもしれない。メルトが恥ずかしい思いをするのは困るから、キスマークは消すことにした。  治癒魔法を使えば消せるんだけど、患部に触れないといけないし、魔力を注がないといけない。  だから全部、キスで上書きすることにした。赤い肌がキスをする度に白い肌に戻ってそれが桜色に染まる。なんて綺麗なんだろう。  魔力が快感を煽るので、メルトはいつもの愛撫を受ける以上に嬌声をあげる。メルトの股間の物はいきり立って絶えず蜜を零している。ああ、何もかも愛しい。 「あ、ヒューなんか、凄い…気持ち、よすぎ…あっ…ダメ、イく…ッ」  俺に縋って仰け反って、軽く達すると、お互いの肌にメルトの吐き出した精が飛び散った。  それも俺は綺麗に舐めとった。甘い。極上のデザートワインのようだ。 「はあ…はあ…も、もう…入れて…」  涙目で強請られて俺には抵抗するなんてできなかった。潤滑液が襞からたれている。その中央に、俺の昂りきった先端を押し当てて正常位で突っ込んだ。中はぐじゅぐじゅで蕩けていてメルトの魔力に満ちていた。太腿を抱えあげて上から腰を突き込む。  貪るように抽挿して、メルトを喘がせた。目尻から零れる涙を舐めとるとそれも甘かった。  メルトの昂りがまた勢いを取り戻すと上下に揺れて俺を煽った。 「…あ…あ…また、来る…来るよぉ…ヒュー…あっ…あああっ…」  メルトが達すると、きつく締めつけられて俺も達した。大量の精を奥に注ぎ込んで、腰を下ろす。 「はあ…はあ…ヒュー…も、ダメ…」  くたりと脱力したメルトを抱え込み、浄化をかけて中以外綺麗にした。 「愛してる、メルト…」  頬に手を添え、間近で囁いた。 「俺も愛してる、ヒュー…」  俺の背をメルトの手が抱き込み、掠れた声で言ってくれた。  胸にあったかい気持ちが広がって、幸せだと思った。  だから、ここを必ず脱出する。  明日は、決戦だ。

ともだちにシェアしよう!