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第6話
放課後、晴翔が言った通り柊沢先輩が宗方のことを迎えに来た。
その時にも周りの人は少し静かになって2人のことを気にしているのがわかる。
「あまね、帰ろう。」
ふんわりと笑う柊沢先輩に宗方が黙って頷き席を立つ。
何も知らない状態でこの状況を見たら柊沢先輩に対する評価は「恋人想いで恋人を心から愛している先輩」だ。
でも実際は監視に近いもの。
2人が教室を出て行くと教室内に賑やかさが戻ってくる。
「いつき〜、俺たちも帰ろ〜。」
前の方から間延びした晴翔の声が聞こえて頷く。
教室から出る前にすれ違うクラスメイト達に「また明日」と声をかけられている晴翔。
「晴翔って結構人気者だよな。」
少し茶化すように言うと「まあねぇ。」と言ってへらりと笑う。
否定しない晴翔に思わず吹き出す。
「否定しないのかよ。」
「ん〜、事実だし?」
そう言いながらまた緩く笑う晴翔。
それを見て俺も笑っていると階段を降りて曲がった直後、誰かにぶつかった。
「わっ、ごめ....。」
「ッ........。」
謝りかけたところで相手はすぐにぺこりと頭を下げて、するりと横を通り過ぎていった。
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