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第5話

「酷い話だよね。 周りも流石にヤバいだろって話になって、宗方に先輩と別れるように言ったんだけど、状況が思ったより酷くて。」 「状況...?」 「宗方って親が2人とも早くに亡くなってて親戚の家に預けられてたんだよ。 そいつらがこれまた酷くてさ〜? 柊沢先輩がいいところの息子ってわかった途端宗方のこと売ったんだよ。 定期的に金が入ってくるならって。」 それは、つまり 「あいつ、先輩から離れても帰る場所がなかったんだ。」 逃げる場所もない。 頼れる人もいない。 そんなの辛いに決まってる。 「本人は先輩の気に触ることしなきゃ前までと同じで優しいままだからって言ってたけど。」 そこでやっと担任のあの行動も、クラスメイトが静まり返ったのも理由がわかった。 みんな間接的にだとしても、宗方のことを守りたかったんだ。 話しかけて宗方が辛い間に合わないよう。 酷い扱いを受けていないか確かめるために。 「出すぎたことをしても、柊沢先輩の権力で潰されるだけ。 だから、平和に3年間暮らしたいんだったら宗方とは関わらないほうがいいよ。」 俺はその言葉にただ押し黙ることしかできなかった。

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