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まさか、イクとは思わず、長い睫毛に縁取られた瞳をぱちぱちと瞬かせた。
快感の波から戻って来れないユウは、縄に全体重をかけて脱力した。
気持ちいがずっと続いて、身体がだるい。
「う、うう、ぁ、」
「はははっ、まさか、出さないでイクとは思わなかった。よっぽどの淫乱なんだなぁ」
目を輝かせて、笑いを零す斎をそろりと見上げる。
涙が滲み、色気が漂う赤らんだ目元に口付けを落とす。
縄を解かれ、畳の上に崩れ落ちる。
後ろに入ったままの異物がゴトリと硬い音を立てて落ちた。
竿の根本を戒める紐を解けば、とろとろと先っぽから白濁液が溢れた。
背中を震わせ、いまだ快感から抜け出せないユウを抱き寄せる。
目蓋に、鼻先に、頬に、唇にキスをする。触れるだけの優しいキスだ。
すぐに口を離せば、もっと、とねだるようにユウから口付けをしてくる。
初めはあんなにも嫌がっていたキスを、自分からねだっていることに気づいていないだろう。
わざと指摘してやれば、きっと真っ赤になって、可愛い顔を見せてくれる。
拾われて、一週間ほどが過ぎた。
借金取りに追われることもなく、温かく柔らかい布団で寝て、朝昼晩三食しっかり出され、気まぐれに躾と称したイタズラをされる。
パサパサだった髪は艶を帯び、がたがただった爪も整い、乾燥しまくっていた肌も本来の潤いを取り戻しつつあった。
ムスッと黙って、部屋に囲われていれば贅沢な暮らしができる。
けれど、それを甘んじて受けるほどユウは大人しくない。
二度目に目を覚ましたとき、外は真っ暗で、夜も更けていた――絶好の脱走時間だと、思ってしまった。
ピッキングは得意だった。よく、母が部屋の鍵を閉めて出かけてしまうので、自然と手慣れてできるようになったのだ。
結局、脱走はできなかったし、鍵も簡単に開けられないものに取り替えられてしまった。
「後ろでイッたら、男の子でいられなくなっちまうなァ」
愉悦を含んだ声に、怖気がする。
戻れない、戻らせない。斎は初めから逃がすつもりなんてないのだ。
自分でするよりもずっと気持ちいい快楽を覚えさせられて、どうやって生きていけばいい。
乳首なんて服がすれると熱く芯を持つようになってしまった。
わき腹を撫でられると性器が起ってしまう。
後孔を弄られると、もどかしい快感に苛まれる。
まさしく、躾だ。
荒っぽい言葉遣いを直され、好き嫌いを直され、セックスの仕方を覚えさせられる。
後ろでイクんだよ、と柔らかく耳を食まれて、しこったところを圧されると気持ちよくてしかたなかった。
「後ろだけでイケるようになったら、ちゃんとセックスをしようなァ」
弄られ、快楽を覚えさせられるが、まだ後孔に肉棒を穿たれたことは無い。
下準備はしっかりと、と言うふたりに、翻弄されるばかりだった。
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