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010*躾

   初めて、男として生まれたことを後悔した。 「ふ、んぐ、ぁ、あ、」  ぽたり、ぽたりと唾液が畳に落ちる。  身体を戒める赤い縄は鴨居を通され、宙ぶらりんに吊られている。肩膝が畳について、かろうじてバランスが取れる状態だ。  縄に縛られ着流しが乱れ、手ぬぐいで猿轡をされたユウはただ喘ぐことしかできない。 「まぁた、脱走しようとしたらしいじゃねぇか」  縄に酔い、涎を垂らすユウの前に座した斎は不機嫌そうだ。否、実際不機嫌なのだろう。  赤い籠の中に閉じ込められ、外へ出ようと斎が留守にしている隙を狙って脱走を試みたのだが、三度目の脱走も失敗した。  仏の顔も三度まで。一度目は「やんちゃだなぁ」と喉を転がして笑っていた斎も、三度目にもなれば堪忍袋の緒が切れてしまった。 「元気なのはいいことだが、元気すぎるのも考え物だな」  手に握った縄の端は、ユウの首に繋がっている。 「ぐっ、ウッ、ん、ん、」  縄を引くたびに、首を絞められ、呼吸が浅くなる。  ヴヴヴ、と腹の奥で振動する後ろで咥え込んだ玩具を落としたら負け。  落とさなかったら逃がしてやろう、という言葉に頷かなければよかった。 「ん、ん、んぁッ、う……!」 「ほんとに処女かぁ? 才能あるなぁ、さすが俺が目をつけただけある」 「あッ、アッ、や、ら、やらぁ……っ」  着流しの中で、根本を紐で戒められた性器は押さえ切れない汁をとろとろと溢れさせている。 尻に咥え込んだ玩具はもどかしい快感しかくれず、無意識に腰を振ってしまう。強すぎない振動は、ユウがイッてしまわないように調整されていた。かれこれ、三十分以上は咥えているだろう。  後孔は蕩け、柔く異物を追い出そうとしている。 「かわいそうになぁ」  俺に見つかったのが運の尽きだったなぁ。胸中で呟く。  かわいそう、と言うたびにユウは薄く目を開けて斎を睨みつけるのだ。それがかわいそうで、可愛くて可愛くてしかたなかった。つい虐めたくなってしまう。  指先で胸の先を掻けば、背中を丸めて悶えた。 後ろに挿入れたのは細めのアナルパール。一回り大きいバイブを咥え込めるユウには物足りない大きさだろう。  直系三センチの玉が連なったアナルパールがじりじりと下がってきている。  設けたのは一時間だ。一時間、落とさずにいれれば解放しようと言ったが、どうせ耐えられないと思っての賭けだった。  三十分は耐えれる。四十分もギリギリ耐えれるだろう。だが、その後はどうだろうか。さんざん焦らされ、汗で髪を張りつけたユウが耐えれると思わなかった。 「もぉ、ふぁ、んぐっ」 「ほら、落ちそうだぞ」  半分抜けかかったバイブの取ってを握り、ずぷぷぷ、と中に戻してやる。 「ひぁッあぁあ!」  気持ちよいところを抉り、全長十五センチ余りのモノが押し込まれていった。  背筋を震わせ、急に襲ってきた強い快感に出さずにイッてしまう。

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