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極道とウサギの甘いその後2−3
家に戻ってくると、湊は先に風呂に入りたいと主張した。
竜次郎としてはさっさと布団へと雪崩れ込みたかったが、まあすることはそうは変わらないかと湊の希望を優先した。
脱衣所で各々服を脱ぎ、浴室に入ると「洗ってやる」とバスチェアに座らせ、ボディソープを付けた手を湊の体に滑らせる。
くすぐったいのか感じているのか、湊は時折身体を震わせ、白い肌は少しずつ色付いていった。
思わず噛みつきたくなるうなじから綺麗なラインを描いて続く背中には、点々と自分の付けた痕が散っている。
征服欲を満たすいい眺めだ。
「あ……りゅうじろ、……ちゃんと、全部綺麗にして……」
反応が過敏な場所ばかり擦っていると、洗い方に偏りがあると控えめな抗議の声が腕の中から聞こえてきて、もちろんわざとそうしていたわけだが、竜次郎はとぼけて返した。
「お前の身体に綺麗じゃないとこなんてないだろ」
「そ……ういう、ことじゃ……んっ!」
「もっといろんなとこ触ってほしいのか?」
「う……ん……、いっぱい、触ってほしい…」
こっちは?と後ろを探ると、息を詰め、身体を震わせる。
中指をくっと押し付けただけで期待していたように吸い付いてきた。
快楽に弱いというよりは、求められることが快楽に繋がるようだ。
欲しがるほど悦ぶいい身体ではあるが、ともすれば本能の赴くままに貪りつくしてしまいそうで、加減にはいつも苦労する。
「竜次郎……、」
吐息のような声で呼ばれ、くもる鏡の中で目を合わせると、頬を上気させた湊は緩慢に身じろぎした。
「俺も……竜次郎の、洗う……?」
「洗うのそこだけか?」
このシチュエーションで元気がないわけがない竜次郎の分身が背中に当たるのが気になるのだろう。
限定的だな、と耳元で笑うと、湊は少しすねたように唇をへの字にした。
「だって……全身洗うって言っても断られそうだから……」
「まあ……それはな。お前に洗われてる間ずっとお預けってのはきついだろ」
流石に湊は竜次郎の言いそうなことをよくわかっている。
魅力的な申し出ではあるが、毎度のことながら繋がりたいという欲望が勝っていた。
「じゃ、こっちで擦って綺麗にしてくれよ」
「え……?あっ、」
ほぐしていた場所から指を抜き、くるりと正面を向かせると、腕を肩に回させ、膝を竜次郎の腕にかけるようにして、狙いを定める。
ぐっと硬く滾ったものを押し付けると、ここでこのまま挿入されることを予想して抱いた身体が一瞬強張ったが、すぐに受け入れようと弛緩する。
そのタイミングを狙って、そのまま立ち上がった。
「……ふぇ?ええっ?……っあ!うそ、はい、る……っ」
先端を含ませたところで一旦止まり、角度を調節してゆっくりとすべてを収めた。
かかる重みが中々いい具合だ。
「りゅうじろ、これ……っ、あ、やあ、落ちちゃ……っ」
未知の不安定さが怖いのか、ぎゅうっと縋り付くのと合わせて中も締まり、息を詰める。
痛みを感じていないか。加減しながら優しく揺すってやると甘い声が上がった。
「落とさねーから心配するな。……滑って転ぶ可能性はあるかもしれねえが」
「う……二人して倒れてるのを…、は、発見されたくない、ね……っ」
どんな事態を想像したのか、息を乱しながらも可笑しげに目を細めた湊の冗談に、くっと笑った。
「気を付ける」
「あっ!や、っあ!っ……あぁ……っ」
反動をつけて、熱く絡みついてくる粘膜を擦る。
風呂場では『滑ったら……』『のぼせたら……』など懸念事項が多いため、咄嗟に「これなら」と思った体位ではあったが、そういえば立位で繋がったことは今まであまりなかった。
「これ、……っなんか、奥に響く、っ……っんや、あ、っ」
湊も気に入っているようだし、今度は立ちバックもいいななどと邪な妄想をしつつ、ごりごりと奥を責める。
縋るような感じ入った声がたまらない。
「お前、奥突いてやるの好きだもんな……っ」
「ぁ、いや、あっあっあっ……!」
ぶるぶる、と全身を震わせた湊の内部にぐっと絞られて、低く呻いた。
湊のものからはとろりと少量の白濁が糸を引いただけだが、どうやら奥への刺激で軽くイッてしまったようだ。
「……ぁ……や、……っ……りゅう、」
「…ちょっと、強くすんぞ」
「…あ!や、っま、だ、いっ……あ、あーっ……!」
とろけた表情を見ていると竜次郎もたまらず、本能のまま何度も突き上げ、二度目の絶頂で腹を白く汚した湊の中に、たっぷりと欲望を注ぎ込んだ。
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