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妄想
由々しき事態である。
非常に由々しき事態なのである。
何がって?
付き合って早2ヶ月。
キスは愚か、
手をつなぐことすらできてないのです!!
これでも一応男です。
僕、早乙女三波 は健全な男子高校生だ。特別華奢なわけでも可愛いわけでもない。いわゆる「一般ピープル」である。
ただ、少し変わっている?ところがあるとすれば、それは恋人が同性というところ。
数々の困難を乗り越え、射抜いた相手は、寡黙で大木みたいな感じの鏑木大和 せんぱい。
それこそ、押して押して押しまくって(ちょっと引いて)、なんとかものにしたのだ!!
(なのに…それなのに!!!)
なんで!!
キスもしてくれなければ!!
手すら繋いでくれないの?!
先輩はもしかして妖精だったの?!
……落ち着こう。
コホン
と、ともかく、これは由々しいのである。
何とかこの状態から脱却したい。
そしてゆくゆくは……………
◆◇◆
…………汗ばんだ、程よく筋肉のついた身体。熱い吐息。見たことのない、獲物を狩るような目。
「せ、せん…ぱい?」
今にもキスができちゃうんじゃないかってくらい、至近距離にある先輩の“男”の顔。
「三波……すごく可愛い」
「へっ…?っ!!!」
「好きだよ」
口を開くと、普段の寡黙な先輩からは想像のできない、愛の言葉が降り注がれる。
「ぼ、僕も…好き、です」
「っ……ごめん、…我慢でき、ないっ」
「いゃ、あっ、あーーーーー………………
◆◇◆
な、なんてことに………むふふ
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