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作戦1:まずはデート4
いやー、いかん
本格的にいかんぞ、早乙女!
先輩と朝会ってから、もう数時間経ってしまったではないか!!
にも関わらず
手がつなげていないでないか!!!
(じゃあどーすればいいの、脳内の僕!!)
あの後、ちょっとブラブラして、お昼を食べて、少し移動して水族館に行って………
そりゃもう、幸せです。
早乙女くんハッピーハッピー
無表情な先輩の笑った顔とかみれたし、実は甘党でペンギンが大好きとか可愛すぎて辛いし、僕に歩調合わせてくれてもっと大好きになったし……
……………、
なんだけどさ、やっぱりこれじゃ、仲のいい友達同士が出掛けてるのと、まあ一緒なわけよ、うん。
不安になるじゃん?
自分は相手の特別って思いたいじゃん?
てか今更気づいたけど、好きって言われたことないし?
でも、僕のこと好きですか?なんて聞く勇気ないし?
てか、あったら手なんてもう繋いでるし?
それに聞いたところで微妙な顔されたら泣いて泣いて泣きまくっちゃう未来しか見えないし?
あああああああ!!!!
早乙女くんネガタイムです。
「……早乙女」
「っ、どーしました、せんぱい?」
いかんいかんいかん!!先輩に心配させてどーする。
ってあれ?先輩の様子変…
「…走れるか?」
「へ?」
「っバレた…!」
「えっ、わっちょ、せんぱい!!」
なーにーがーおーきーてーるーのー????
いや、落ち着け、走りながらだけど落ち着け…まずは状況を整理して…
これからどーします?みたいな感じでのんびり通りを歩いてたら(このとき早乙女くんはネガだったよ)突如走り出した先輩!
必死に追いつこうとするものの、運動部と文化部。足には自信がありません!!
だから先輩との距離がだんだんひらいて………………
ない?
むしろぴったり後ろを走ってる……てか、引っ張られてる?
なんで?
いや、なんでってそりゃ
(手が繋がってるから…………って)
「ええ?!?!?!」
「っ、巻けたか……」
徐々に速度を落とし、無事どこかの公園で停止。
「え、えーっと…………」
「すまない、突然走り出して…」
「あっ、いえ!大丈夫です!」
むしろむしろむしろ!
て、手が…!!ひ、左手が!
今もなお…先輩と…
ガッチリバッチリしっかり
繋がってますので!!嬉しいので!
「えーーっと……」
「……」
互いに若干の気まずさを含んだ空気が流れる〜
そりゃ、手をつなげて嬉しいよ?
普段竹刀を持ってるせいか、先輩の手は僕のよりも、ゴツゴツしてるししっかりしてる。
力も強くて、走ってるときはちょっと痛かった。(いや、それでも気にかけて本気で掴んでないことはわかったよ!優しい!!)
本当はまだ手をつないでたい。
離したくない。
でもさ、男同士だから離さなきゃだし。
もしかしたら優しい先輩は、すぐに手を離したいのを我慢してくれてるのかもだし……
だめだ、考えたら泣きそう……
「……せんぱい」
「?」
「━」
なんでそんなに優しいんですか?
同情して付き合ってくれてるんですか?
可哀想なやつだからいい夢を見させてやろう的な、それですか?
ちょっとした慈善活動の一貫ですか?
本当に
本当に僕のことは好きですか?
(なーんて、言えたらいいな…)
「なんでもないです!
突然びっくりしましたよ
もう、こんな時間………
今日はこれでお開きにしましょう?」
「………ああ」
「それじゃあ、また学校で、です!」
くるっと回れ右をして、颯爽と公園を去って、電車に素早く乗って………
何でこんな逃げるようにして帰ってるんだろ………
本当
情けないな
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