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作戦1:まずはデート3
「せんぱいは、どれがいいですか?」
映画館の大きな画面を見ながら、僕たちは見る作品を決めていた。本当は事前に予約しとくのが良かったんだろうけど、ホラーが良いのか恋愛物がいいのか…………
わかんなかったから、一緒に決めることにしたのだ!
(こういうのって、デートって感じする!いい!)
「ん……これかな」
「『エリーと炎の女神3』ですか?」
「ああ」
『エリーと炎の女神』は数年前、社会現象を起こすほど世界中でヒットした作品。
3なんて出てたんだ、知らなかった。
「じゃあ、チケット買いに行きましょう!
今からだと……あ、席ぎりぎり空いてます!」
「急ぐか」
「はいっ!」
先輩とチケットを買って、先輩と少し小走りになりながらスクリーンに向かう。
(先輩と一緒だと幸せ………)
◆◇◆
「面白かったー」
「だな」
約2時間の映画を見終わり、ぞろぞろと人に流されながら、スクリーンをあとにする。
「まさかメアリーが妖精だったなんて…」
「急展開だったな。驚いた」
(先輩と同じものを共有してる…いい……)
……………っていかんいかん!
肝心の目的を忘れるところだった。
(先輩と手を繋がないと…手を…手を……)
「━とめ、、、さおとめ、、、早乙女」
「ーはい!早乙女です!」
「ボーッとしてたけど、大丈夫か?」
せ、先輩が笑ってる…先輩が心配してくれてる………か、かっこいい…
「え、あ、はい。、大丈夫…です」
「ん。次、どうしようか」
「えっと、次は━━━」
普段と違う先輩の姿や、あまり見ることのない笑顔、心配して覗き込んでくる優しい瞳。
(も、もう……もう………
早乙女三波、ノックアウトですっっ!!)
我が生涯に一片の悔いなし……(バタン
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