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第0話 過去と未来と

「・・・っっ・・んっっ」 微かに繋がる線の隙間から、息が漏れる。 息の吸い方がわからない。苦しい。 あいつは、無理やりにでも閉じようとする僕の口に自分の舌を いとも簡単に、ねじ込み僕の舌へと絡ましてくる。 《このままだと、飛ぶ。》 最後の力を振り絞り全力で抵抗するも勿論あいつに勝てるはずなどなく あいつは、軽く口角を上げると俺のことなどお構いなしに、もっと舌を絡ましてくる。 「んっっ・・ふぁっ・・じっ・・んぁっ」 蝉の音と、部活動に励む生徒の声がこだまする。 暑さがひどい、地面には陽炎が現れ焼けるように熱いそんな日。 『・・・これで、さよならだ。優。』 遠のく意識の中でかすかに聞こえたあいつの声 その言葉を最後に、僕の意識は、暑さと息苦しさに眩み失った。

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