9 / 9

第7話 廊下の先

清々しいほどに空は清み、じりじりと眩しい太陽が大地に照り付ける。 「・・・はぁ。」 少し大きめのため息が漏れ、 机にパタンしながら校庭を眺める。 夢弥志高校、新校舎。沢山あるクラスの内の一つ。 「・・・・・」 何の特徴もないただの一般生徒。 高校デビューに成功した ただのモブキャラ。 「・・・おい!優!」 「ん!?あぁ、明。」 隣の席の明がすぐ隣に立っていた。 明は、僕の顔を心配そうにのぞき込んでいる。 何だろう、凄いデジャブ。てか、いつも明の心配してる顔ばっか見てる気がする。 「優。やっぱり、まだ体調悪いのか?今日も起きんの早かっただろ?次、式だし大丈夫か?」 そう、あの後おにぎりを食べてから、もう一度寝ようとしたものの、何度も先輩の顔や手の感触を思い出してしまい結局眠れず、気づいたときには朝になっていたため軽く寝不足だ。 「大丈夫だよ。心配してくれてありがとな。ちょっと考え事してただけだから大丈夫!」 「・・・そっか。ならいいんだ。・・・なんか悩んでんなら、いつでも言えよ。」 明は、少し心配そうな顔をしながらも僕の頭を優しく撫でてくる。 明、ごめん。でも優しいお前に先輩のことなんて相談できないし、 心配させたり迷惑かけたくないんだ。お前は僕にできた初めての親友だから。 校舎にチャイムが鳴り響く。 「わぁ!?チャイムじゃん!!!てか、クラス誰もいないし!!明!急ぐぞ!!!」 僕は、明の手を引き体育館へ向かう。 廊下を走りながら、小さく 「明。ありがとな。」 っと呟く、明とつないだ手にさっきより力を込めた。 終業式が終わったら、先輩のところ行かないとなのか。 ・・・・今日もあんな・・・!!!! 何考えてんだよ自分!!昨日のことは忘れよう!!!これは、ただの秘密を守るための条件なんだ!! 僕は、身体の熱の上昇を感じながら、これは勘違いだ!!!と頭の中で唱えながら 廊下を走り続けた。 「」 っとどこか、悲しそうの声が後ろから聞こえた気がした。

ともだちにシェアしよう!