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変わらないもの
先に伊織がドアの向こう側でスタンバイしている
僕の横には、教会でお世話になっていた初老の神父さんだ
「綺麗になりましたね、なお。私は、君がずっと気がかりでした......楽しそうにしていてもどこか......崩れてしまいそうな脆さあった」
「はい。僕もあの頃は、楽しかったけどいつ手放してしまってもいい時間だと思ってました」
ギュッと手を握られる
神父さんの手は、しわしわで温かかった
「君が旦那さんを連れてきて、ここで式を挙げたいと言ってくれて......私は、嬉しかったですよ」
「僕も。まだ、ここが温かい場所のままだとわかって涙が出そうでした」
「父親役も、嬉しいですよ。綺麗になりましたね、なお。どうか、伊織さんとお幸せに......」
「はい......神父様......いえ、お義父さん」
握られた手に手を添えて彼に向かってニッコリ笑った
彼の優しさが滲むその顔は、しわくちゃだった
音楽が鳴りはじめてゆっくりドアが開かれる
1歩1歩進む度に今日までのことを思い出す
両側には、僕たちを祝福してくれる人達
視界がどんどんぼやけていく
「伊織さん、なおをよろしくお願いしますね」
「はい、承りました」
神父さんの手が離れて伊織に手を引かれて横に立つ
「嬉しそうだね、なお」
「うん、最高に......」
「それはよかった」
溢れる涙を伊織が手で拭ってくれた
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