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《不確かな想い》

「告白してるって言ったらどうします?」 そう伝えてしまう。 「敬大くん、それは君が優しいが故の哀れみだ。恋愛感情ではないんだよ」 こんな生活をしている人間に驚いて戸惑って、優しい君は、助けたい想いが高まっているだけ。 「あずまさん、」 違う、哀れみなんかじゃない… だけど、あずまさんを見れば分かる。 告白しても受け入れてはくれないだろう。 出て行く口実をつくるだけ。 「入るね」 腕を解き、風呂場へ入っていく。 「うん、ごめんなさい」 一緒に居たいから… 溢れ出しそうな想いを封じ込める。 「謝ることは何も無いよ、君は優しすぎる、こんな底辺の人間の為に、大事な時間を費やさせてしまって本当にすまないね」 「そんなこと、」 「ありがとう、君のおかげで私は今、幸せだよ」 そう、上目遣いにいつもの笑顔を向けてくる。 「っ」 ドキリと胸が鳴る。同時にゾクリと身体が震える感覚が走り、中心が熱くなった。 慌てて浴室から出てドアを閉める。 「敬大くん?」 「すみません、先、入っててください」 勃ってしまった…。 「あぁ、ずいぶん慣れてきたからもう手伝ってもらわなくても大丈夫だよ」 「いえ、ちょっと忘れ物しただけですから、」 「あぁ、分かったよ」 「すみません」 それからトイレで一回ヌいて、あずまの元に戻る。 風呂から上がり、二人分の飲み物を作りながら冷静になって考えてみる。 ただ舞い上がってるだけ、なのかな… 他人とこんなにも密接に関わったのがはじめてだから… 欲求不満になってるのを、何か勘違いして… そうじゃないとおかしいよな… あずまさんに欲情してしまうなんて… あずまさんの言う通り、哀れみと混同してる? あずまさんを哀れんだりとかしてないつもりだけど、 あまりにも、報われない生活してるから、可哀想になって… もっとあずまさんには笑顔でいて欲しいって純粋に思ってるけど… 可哀想って思うことが哀れんでるってこと? 可哀想だから抱きしめたくなるのか? キスしたくなるのか? キスしたらあずまさんが笑ってくれるから? 俺、本当はあずまさんのこと、どう思っているんだろう。 あずまさんをどうしたいんだろう。 恋愛感情じゃなければ…このモヤモヤした感情は何なんだろう。

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