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《後悔?》
その腕を掴んで支えながらあずまは真剣に伝える。
「冷静になって!敬大くんが後悔する、本当に好きな相手が、結ばれるべき相手が出来た時に、絶対後悔するから」
はじめてがこんなおじさんとだなんて、人生の中での汚点にしかならない。
一時の気の迷いで、後悔させることになったらいけないから…
「そんなこと」
「よく見るんだ、これはただのおじさんだ、欲情する相手じゃない」
厳しい顔つきで、真っ直ぐ視線を合わせて言い聞かせる。
「あずまさん」
初めて見た、あずまの厳しい顔…
「トイレで処理してくるんだ」
「……」
小さく頷いて、その場を離れる。
トイレに入り、しっかり勃ち上がった陰茎に自らの手で刺激を与えていく。
(……っ、あずまさんッ…あずまさん!)
思い浮かべるのは、やはりあずま。
あずまさんに触りたい、あずまさんとエッチしたい。
でも、できないから…
「ッ!んっ」
妄想の中でだけでも…
好きなんだ、あずまさん…。
しばらくして、ベッドで待つあずまのもとへ戻る。
「落ち着いたか?」
「はい、すみません」
「良かった、若い頃は性欲がコントロールできなくなることもあるから大丈夫、たんなる気の迷いだ」
「けど、」
あずまさんに抱いた感情は、抱いている感情は嘘じゃない。
「敬大くん、」
「俺、どうしたんだろう」
「欲求不満なんだろう、敬大くんは若いから、アダルトビデオとかで発散したらどうだろう」
あんなことをしたのに、心配してくれる。
「あずまさん、ごめん。ありがとう」
「私がいることで、辛くなるのなら、すぐに出て行くからいつでも言ってくれ」
「そんなこと言わないで、ここに居て」
そんな、あずまの言葉にはっとする。
「敬大くん」
欲望のまま、暴走したら、あずまさんは居なくなってしまう。
急に不安感に苛まれる。
「大丈夫だから、ここにいて」
お願いするように、あずまを抱きしめる。
「分かったから、もう寝よう」
優しく背をさすってくれるあずま。
「はい」
あずまがいなくなるなんて考えたくない。
だから、この想いは封じ込める。
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