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ゆがんだ愛、抱きしめる腕 2

 あらわになる。白い身体に散らばる赤が。  見られてしまったことに、かえって頭が冷静になった。  せっかく手に入れた友情はなくなり、二度と温かく大きな手で触れては貰えない。 「汚いでしょう? レイプされた身体……」  顔を背けてしまったので真田がいま、どんな顔をしているのだろう。  服が元に戻る。ベッドが軋み、真田が離れていくことだけはわかった。 「ふっ」  すべて終わった。 「さなだぁ……」  好きだった。友達として傍にいられたらそれでよかったのに。  それすらなくしてしまったのだ。 「なんだ、豊島」 「え?」  まさか返事はくるとはおもわず声の方へと向ける。涙で濡れ、ぼやける視線の先、そこに風呂桶を持った真田の姿がある。 「身体、拭いていい?」  とサイドボードに桶を置いた。 「なんで」  帰ったと思っていた。 「あんな寂しそうな顔をしていたくせに。一人にさせられっかよ」  そんな顔をしていたなんて。 「俺、汚い……」 「だから綺麗にしてやるって」  タオルを絞る音がする。 「俺が、な」  シャツのボタンに手がかかる。 「真田」 「全部俺が拭いてやるから」  上半身が晒される。  身体に残る痕。忌々しだけなのに、真田が触れるたびに感じてしまう。  指で触れた後にタオルで身体を拭いていく。  首に、鎖骨をふき、そして胸へと触れた。 「ひゃぁ」  散々吸われて痛かった場所が、真田に触れられただけで気持ちよくて感じてしまう。 「くすぐったいか?」 「うんん」  だが、熱がたまりはじめている。下半身のモノが反応をみせはじめた。 「真田、もういいから」  脇腹を拭いているあたりで止めようとしたが、 「あぁ、膨らんでるな」  と言われ、カッと顔が熱くなる。 「ごめんっ」  自分のためにしてくれていることなのに、こんなふうになるなんてあさましい。 「よかった。反応してくれて」  そう口にして笑う真田に、豊島は目をぱちぱちとさせた。  いま、何を言った? 「えっと……」 「俺に触られるのが嫌じゃないってことだよな」  タオルと桶に入れると、手が肌へ触れた。 「俺は嫌じゃない。真田こそ、平気なの?」 「あぁ。お前につけられた痕をすべて俺のでぬりかえたい」  真田が向ける視線をから、目が離せなくなる。  まさかそんなことを言ってもらえるなんて。真田にならすべて話してもいいのではないかと、意を決する。 「その前に、俺の話を聞いてもらっても?」 「いいぞ」  それから豊島は自分の身に起きたことを真田に話した。  秋庭との出会いからはじまり、レイプをされたことまでを。  途中で何度も言葉に詰まった。そのたびに優しく背中を摩り、抱きしめてくれた。 「真田、聞いてくれてありがとう」 「いや、つらい話をさせてしまったな」 「うんん、真田、それでも俺に触れてくれる?」 「あぁ」  後頭部に手を添え、唇が触れた。

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