7 / 10
ゆがんだ愛、抱きしめる腕 2
あらわになる。白い身体に散らばる赤が。
見られてしまったことに、かえって頭が冷静になった。
せっかく手に入れた友情はなくなり、二度と温かく大きな手で触れては貰えない。
「汚いでしょう? レイプされた身体……」
顔を背けてしまったので真田がいま、どんな顔をしているのだろう。
服が元に戻る。ベッドが軋み、真田が離れていくことだけはわかった。
「ふっ」
すべて終わった。
「さなだぁ……」
好きだった。友達として傍にいられたらそれでよかったのに。
それすらなくしてしまったのだ。
「なんだ、豊島」
「え?」
まさか返事はくるとはおもわず声の方へと向ける。涙で濡れ、ぼやける視線の先、そこに風呂桶を持った真田の姿がある。
「身体、拭いていい?」
とサイドボードに桶を置いた。
「なんで」
帰ったと思っていた。
「あんな寂しそうな顔をしていたくせに。一人にさせられっかよ」
そんな顔をしていたなんて。
「俺、汚い……」
「だから綺麗にしてやるって」
タオルを絞る音がする。
「俺が、な」
シャツのボタンに手がかかる。
「真田」
「全部俺が拭いてやるから」
上半身が晒される。
身体に残る痕。忌々しだけなのに、真田が触れるたびに感じてしまう。
指で触れた後にタオルで身体を拭いていく。
首に、鎖骨をふき、そして胸へと触れた。
「ひゃぁ」
散々吸われて痛かった場所が、真田に触れられただけで気持ちよくて感じてしまう。
「くすぐったいか?」
「うんん」
だが、熱がたまりはじめている。下半身のモノが反応をみせはじめた。
「真田、もういいから」
脇腹を拭いているあたりで止めようとしたが、
「あぁ、膨らんでるな」
と言われ、カッと顔が熱くなる。
「ごめんっ」
自分のためにしてくれていることなのに、こんなふうになるなんてあさましい。
「よかった。反応してくれて」
そう口にして笑う真田に、豊島は目をぱちぱちとさせた。
いま、何を言った?
「えっと……」
「俺に触られるのが嫌じゃないってことだよな」
タオルと桶に入れると、手が肌へ触れた。
「俺は嫌じゃない。真田こそ、平気なの?」
「あぁ。お前につけられた痕をすべて俺のでぬりかえたい」
真田が向ける視線をから、目が離せなくなる。
まさかそんなことを言ってもらえるなんて。真田にならすべて話してもいいのではないかと、意を決する。
「その前に、俺の話を聞いてもらっても?」
「いいぞ」
それから豊島は自分の身に起きたことを真田に話した。
秋庭との出会いからはじまり、レイプをされたことまでを。
途中で何度も言葉に詰まった。そのたびに優しく背中を摩り、抱きしめてくれた。
「真田、聞いてくれてありがとう」
「いや、つらい話をさせてしまったな」
「うんん、真田、それでも俺に触れてくれる?」
「あぁ」
後頭部に手を添え、唇が触れた。
ともだちにシェアしよう!