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65.花、開いて(☆)
「ケイ……はぅ……んっ……」
唇が触れ合う度にカーテンのリングランナーが控 えめな音を立てて左右に振れる。薄っすらと目を開けると出入りを繰り返す光が景介 の顔を照らしているのが見えた。黒い睫毛 に光の粒がのっている。
――美しい。
そう思う一方で崩したいとも思う。相反する感情に戸惑いながらもカメラを右太股 の横へ。景介の後頭部に触れる。
「ケイ、舌――っ!?」
背が大きく跳ねる。手だ。手が服の中に入ってきている。冷たく骨ばったそれに臍 、肋 をなぞられる。身体が強張っていく。緊張しているわけでも恥ずかしがっているわけでもない。
――警戒しているのだ。
手が胸まで届く。満遍なく撫で上げ先端を摘まんだ。やわらかだったそれが硬さを帯びていく。
「っ!? る、ルー……?」
景介の腕を掴んで止めた。
――やはり求めていた。
愛らしい自分を。胸の先で女性のように悦ぶ自分を。
「……ごめん」
いずれは応えられなくなる。ならばいっそ最初から応えずにおいた方がいい。代わりに励む。落胆させてしまう分。いやそれ以上に。全身全霊をもって景介を愛する。大切に、大切にする。
「……っ」
自身でも薄らと感じている違和感。それらには目を瞑 り事を進めていく。
「舌、出してもらってもいいかな?」
「あっ、ああ……」
景介は息を呑んだ後、おずおずと舌を出した。しっとりと濡れた桃色のそこからは芳醇 な香気が漂う。
「んっ……」
誘われるまま舌を触れさせると味蕾 が甘さを感じ取った。
「ッ……!」
先ほどの決意はどこへやら。獣のように貪 り出す。
「――っ! ………~~ぁっ」
吸い上げていく。蜜を搾 り取るよう緩急をつけて。
「はぁ……ぁ……んンッ……!」
低く抑揚を感じさせない声が甘美なものになっていく。ズボンがきつい。中心が痛いぐらいに張り詰めているのが分かる。しかし、ここではまずい。ソファでするにしても体勢が限られ、景介に余計な負荷をかけてしまう。
「ケイ、こっち」
僅 かながらに残った理性で景介の腕を引き、自室に向かう――。
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