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第5話
「ま、特に連絡することはねぇからはい、解散」
担任の新海先生はやってきたから5秒足らずで皆んなを帰らせた。この教室に来る意味ありますか?
「で健吾は俺と居残りな」
‥はぁーい。
ーーー
皆んなが帰った教室には僕と担任の新海先生が残った。
僕は自席から離れずに居たら、はぁとため息をしながら前の席に後ろ向きで座り顎に手を置かれ上にあげられる。
「先生?近いんですけど。」
視線が合うと思った以上の距離の近さに驚いた。
「ん?普通の距離だがな。」
ニヤリ、という擬音語がピッタリに笑みを浮かべ、顎に置かれていた手が右耳に移る。
「ぅはぁ」
不意に弱点な耳を触られ変な声が出て咄嗟に口を塞ぐと担任はより笑みを深める。
毎回こうして悪どい笑みを浮かべ僕を揶揄うこの担任はいい趣味をしていらっしゃる事。
「ところで何用ですか?」
「ん?用件がなけりゃお前と2人で話しちゃいけないのか?」
尚も耳朶を触ってくる。確かに僕の自慢の福耳はもちもちで触り心地抜群だけれども!やめて下さい!
手を振り解くとえーと言いつつも素直に引いた。
「用件なかったなら帰りますね」
「焦んなって。用件はあっから。」
‥早く言って下さいよ。
「‥」
「そんな顔するなって。今日室谷休みだったろ。これが朝の連絡と授業の要点と配布資料。いらないとは思うが一応な」
そう言われて渡された数枚のプリント。朝配布された連絡のプリントと(こんなの配られてたっけな?)
今日やった生物の授業のまとめプリント。ちょこちょこコメントが書かれてて担任のマメさが窺える。
本当に生徒思いなのにあのホストみたいなチャラい外見で損をしている!
「はい、寮に戻り次第渡します」
「ん。じゃあな」
用件はプリントだけだった様で速やかに帰宅の態勢を取ると担任の手が動き出す気配がした為ダッシュで扉まで向かう。
さようなら、と笑顔で言うと苦笑いしながらも返答をくれた。
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