14 / 25

お前は今日から俺の嫁だ、嬉しいなお姫様。

さて、長い間語ってきたけど、一応これで一つ目の私の受難は終わるかな? 永らく番い、数千年も共にいたから、もっと沢山のありえないエピソードも、 …とても苦しい思いも…本当に沢山あった。 《最初は酷かったシュテンは良い夫になったのか?》 夫とかそういうものよりも、離せない半身にんだよ。 またグラスが空いたけど、今はガスウォーターにライムでも絞ったのにするよ。 とりあえずのハッピーエンド?かなそれを話そうか。 ◇◇◇ 何となく、僕らの距離が少し縮み、僕自身も気持ちを自覚した日から一夜明けた。 僕が寝入った後にあいつは、あいつらと同じ様な変な【】の奴らを纏めて始末し、喰らったそうだ。 おかげで【青】の家は殆どのものがいなくなり、 僕が跡継ぎとされていたが、朱点(シュテン)がどうやっても僕を手離すとは思えず、 【青】として生まれているのに、何故か生来の名を捨て、朱点の元に下り、 結婚の相手のことで喧嘩をし、勘当までされていた姉が戻り、 【青】の家を継ぐ事になった。 他にも数人残っていた父と祖父母や親戚と共に【青】を立て直すらしい。 また、あの変な【】を纏った朱点の兄姉らを始末したことは、 不思議なことに問題にすらならなかった。 あれらは鬼の掟に反した行動をし、処分待ちのようなものであったらしい。 ただ、時期が悪いということや様々な事情から留め置かれていたそうだ。 それを無視して私刑を実行したことについてだけ、あいつは后陛下に叱られた。 『良いですか?このアホ!お前はいくつになっても、どうしてこんなことすらわからないのですか?!』 『あいつらはゴミだ。お姫様と仲良く暮らせない。始末した。母上どうしたんだ?』 『お前はねぇ…このアホ!!』 叱られているときに不思議そうな顔をしていて、そのことでまた怒られていた。 それから僕に会いたいという客人が訪れ、会うことになり、驚いた。 「【青】は良くないものの出口にされているんだよ。ずっとね。」 姉の【名】は(アケ)という。 久しぶりに見た姉には角が無かった!! 「姉様!あ、えぇ?!あ?エエエェ?!」 腕を組み顎に手を当て考え込む姉。 「だから父上たちはお前が、あの方のところに嫁ぐのを危ぶんでいたんだけれどね。」 姉は溜息を吐き、続ける。 「お前も、朱点様も純粋なの魂だからね。 『(アレ)』から睨まれやすいから、そう考えるのもわかるんだけれど。まぁ、あの人たちもおしおきしておいたから。」 にっこりと笑う姉。その瞳には危険な光が宿っていた。 何を言っているかはわからないが、この姉は耳長族(エルフ)の長と恋に落ち、結婚の約束をして飛び出していた。 そんな姉を、家に戻すことになったことが申し訳なかった。 「お姉ちゃんはお前に『運命』は自分で掴めって教えたよね?朱点様がそうなのかな?」 「恋も愛もまだわからない。でも、離れたくないんだ。」 自覚したこの気持ちは、まだ名前がつけられない。 【青】の跡継ぎとして、僕はそういったことを望むのは難しかった。 家のためにより良いオスと縁を繋ぐもの。 だから考えたことはなかった。 「そっか、存分に悩みなさい。そして振り回してやれば良いんだ。」 「姉様?」 「認め祝福すると言ったが、なんて事を私の可愛い弟にしてくれた…」 「姉様、なんか怖いよ?」 「ん、あぁ…何でもないよ。ところで何か困った事などはないかい?」 こんなふうに姉と再会して心ゆくまで話し込んだ。 ◇◇◇ 「目障りだった共も始末した。俺の子も孕んでる。 お前は今日から俺の嫁だ、嬉しいなお姫様。」 「ハイーーーー?!」 いつのまにか勝手にこいつの嫁…妃にされていた。 あんな惨殺現場を見せられ、とんでもない給餌行動をし、 そして、それらを無理矢理食わせる。 いきなり閨に連れ込み、僕の純潔を奪い、勝手に番にしたうえに、一方的に【血の伴侶】にしかけ、孕ませようとする事に さらなる問題行動が追加された。 そんな恐怖の存在が自分の夫に決定した瞬間だった。 もう、こいつに出会ったことから、僕の受難は始まったとしか思えない。 確かに色々と相性が良くて、一緒にいても退屈しない (しようがないくらいの問題を起こすともいうが) そして、物凄く僕好みの容姿だ。 …でっかいちんちんもすごく好き。 言葉が足りない、問題行動を起こす、突飛すぎる考えについていけない…他にもまだまだ言いたいことはある。 僕もなんでこいつが好きになったかわからない。 しかも最近の異常な空腹は妊娠からくるものらしい。 おまえ!知ってたなら早く言えよ!! 僕がまだまだ子供だし、いくら『運命』でもこんなすぐに子供が出来るとは思わなかった。 あの時の僕の不安は的中していたのだ。 『運命』と番っている、あいつの側近の四童子の一人から、凄いと言われるくらいの確率と期間と 僕の成熟してもまだまだ幼い肉体では、あり得ないくらいの奇跡だった。 流石、奇跡の子。 お前本当に凄いよ… 「先日から、后陛下が 『予兆があり頭が痛いです。本当にあのアホはーー!!! あんな幼子にはまだ少し早いです! この鬼畜め!!まぁ、鬼ですけれどね……』と仰られてまして、 その後呼び出され、百合(ユリ)様に付くように命じられました。」 そう茨木(イバラキ)は僕に言った。 つまり、あいつに彼女を初めて紹介された時には、既に僕は妃に内定していたという事になる。 本当に!お前いい加減にしろよな!! あんなに散々!僕が悩んで!!苦しんでいたのに!!! どおりで彼女が僕のことを少し微笑ましそうに見るわけだよ! 「お前はなぁ… いつも単語を繋げてしゃべるような会話をやめろ!ちゃんと考えている事を実行する前に話せ!!衝動的に本能的に行動するな!!!」 続けて 「頭が足りないわけじゃないのに、なんでそう色々な常識が抜けているんだ!お前についてた教育係とかどうしたんだよ!!」 「喰った。」 「え、食べた…?!冗談だよな?な?な?」 本当に僕はなんで好きなんだろうな? でっかいちんちんか? ありえない絶倫か? 駄目だ、体で堕とされかけている… 姉様、ごめんなさい…百合は悪い子になりました。 しかし、これから成長期に入ったばかりの僕が子供を産み、育てなければいけない。 しかもその子がいきなり次期(スメラギ)に決まるとか、もう…頭が痛すぎるし、責任の重さに目眩がする。 もう、嫌だ。 深く考えると疲れる。 とりあえず………… 「僕は何としても【()】に帰る!絶対に!絶対に!!家に帰るんだ!! 離せ朱点(シュテン)!お前、本当にいい加減にしろよな!!うわぁぁ!助けて姉様!!!」 ◇◇◇ あら、ファイゲンバウムどうしたの? 《マリー、君は疲れているから早く帰って寝た方が良い。》 失礼だな、皆が強請るから普段は喋らないことを話したんだ。 そんなに美人で賢くて優秀でモテるのに、なんで恋人すら作らない?とか皆が煩いからだろう? 《うーん、マリーを信じないわけではないが、荒唐無稽過ぎて困った。》 私の純潔はあいつに捧げることにしているんだ! 《………………あー…うん。そっか。》 あいつのでっかいちんちんに慣れて、あいつと寝たことあったら、絶対に他では満足なんてできないぞ! やつは問題児だったが、そこは素晴らしく優秀だったからな! 《わー始まったよ!誰かマリーの口を塞げ!》 《嘘だろう!この絶世の美女からこの発言は無い…》 《いや、下ネタも出来るから逆に親しみがわいた。》 何故か茨木とか四童子とかには『良く我慢できますね?若はあり得ないくらいの巨根のうえに絶倫で、僕らは泣き叫ぶくらいですよ?』とか何度も言われたが… それに私は貞操が非常に堅いんだ。 夫以外にも物凄い数のものに迫られたが、絶対に許さなかったんだ。 眷属だって暫くは作らせてもらえなかったからな! 《これはだめだないつもみたいに暴れだすぞ。》 《マリーは酒が入ると物凄く下品になる。》 《びっくりするような発言が出る前に止めよう。》 《もう…手遅れだと思うが?》 なんなんだ?さらに酷く疲れた顔をして。 続きもまだあるんだぞ! なんだ? 《そろそろお開きにしないと、マリーを女神の様に崇めている者たちの理想が崩れる》 そんなの私の知ったことじゃないな。 私はあれの前では、開発されきったエロいお姫様だからな! 《マリー、君は悪酔いしているから、送っていくよ!》 《それが良い!》 ありがとう助かるよ。 《今日は長い間話させてごめんなさい、色々と楽しかったわ!》 《また今度続きをお願い。》 《マリーも私たちのお仲間だとは思わなかったわ!》 うん?機会があればね。 ◇◆◇ 仲間内のパーティーから家に帰ってきた。 なんだか最終的に夢とかにされていそうだな。 それか狂人扱いか? キッチンで水を汲み飲み干す。 あいつは酒とかもザルというか枠みたいな奴だったな。 私はわりと弱かったうえに、良くない酔い方をするらしいから、 茨木からは止められていたが、あいつは好んで飲ませたな。 きっと、その時に色々と変態行為を仕込んだんだろうな。 いつの間にか色々と慣れてて、凄く不思議だったからな。 あいつは三大欲求で行動するから本当に参る。 ん?息子たちが二人で来たな。 相変わらずこの子たちは仲が凄く良い。 ……いや、不安になるくらい良すぎる。 魂が惹かれ合うのか離すと激しく嫌がるし、恐ろしいことをしそうだ。 「お袋、あのさ…話があるんだけど。」 私の実子であるランディが声をかけてきた。 「なに?」 「マリーさん。」 同僚から預かっているコリンも声をかけてきた。 「実は俺た「ランディとセックスした。」 ハイーーーーーーーーーーー?! 「おい!コリン!!何言ってんだよ!!!」 「事実だよ?」 慌てて片割れを咎める息子と、不思議な顔をして片割れに話す子。 思わず目眩がしたが、何となく彼らはそういう関係になるかと思っていた。 が、些か早すぎる。 お前たち…まだ十歳になるかならないかくらいだろう? なんでそんなに性の目覚めが早いんだ? いや、あいつはそれくらいかもう少し前だとか言っていたな。 イヤイヤイヤイヤ、鬼の子の体ではないから… それにこちらはあちらの様な体の作りをしていない。 Ωでもないのに受け入れるのも、入れる側も病気とか色々あるんだからな! こいつらは本当ににそっくりだ。 これから詳しく聞き出して、きっちり叱らないといけない。 なんでこんなに頭の痛い事ばかりをするのかわからないな。 でも、こういった日常が楽しかった。 それが忘れられなかった。 あいつのゾッとするまでの美貌、その強さ、心の純粋さ、 始祖達が不可能だと言われていた末に、生まれてきた待望の祝福された子。 その存在自体が奇跡のようなそんなやつだった。 あいつを忘れることなんてには無理だった。

ともだちにシェアしよう!