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prologue

 まだ子供だった僕たちの間でそっと交された約束。  それは、閉ざされた僕の世界に微かな光を与えたんだ。 *明日に捧ぐ君への約束*   「ほら、もっと口開けよ」 「んっ…… ふっ」  下校時間の過ぎた高校の教室で、矢田部(やたべ)日向(ひなた)は、同じクラスの北井浩也(きたいこうや)のペニスにしゃぶりついていた。  靴下と上靴しか身につける事を許されず、ズボンを寛げただけの姿で椅子に座る彼の前へと(ひざまず)き、懸命に口を動かすが、大きくする事まではできてもなかなか達ってはくれない。  日向はといえば教室内に裸でいるという緊張と、彼への奉仕に精一杯で、快楽を求めることなど当たり前だができずにいた。 「本当に、この前までやったこと無かっただけあって下手糞だな…… このままじゃ何時間あってもイけやしない」 「んっ…… う゛うぅ! 」  萎えたままの日向のペニスをグリグリと足で踏みつけながら、口角を少し上げる浩也の眼鏡の奥の瞳は少しも笑っていなくて…… 痛みに腰を引こうとするも髪を捕まれ股間に顔を引き寄せられてしまう。 「ほら、早くイカせないとヒナのコレ……潰れる」 「ふ、んうぅぅ! 」  日向は必死に口を動かすが痛みに体が強ばってしまい、溢れだした涙がポロポロと頬を伝って流れ落ちる。 「仕方ないな」  言いながら、両手で日向の頭を掴んで立ち上がった浩也につられて日向も慌てて膝立ちになると、開いた口にペニスをねじ込まれそのまま腰を打ち付けられた。 「っふぐぅ…… うぅっ」  喉の奥まで一杯になり、苦しさのあまり流れる涙が止まらない。  そのまま、暫くの間抜き差しをされ、酸欠になった日向の意識は徐々に遠のいていくけれど…… それを手放してしまう寸前、喉奥へと勢い良く白濁が叩き付けられた。 「ゴホッ…… オェッ」  たまらず吐き出そうとすれば、頭を捕まれ口を掌で覆われる。 「ケツが痛いって泣くから今日は口だけで許してやるんだ。全部飲め…… 俺の事、好きなんだろ?」 「ん…… うぅ」  言葉に逆らうことも出来ずに、日向はそれを喉を鳴らして飲み込んだ。 「今度痛いとかワガママ言ったら、もう相手にしないから」  耳元で、囁くように告げられた言葉に日向の体がビクリと跳ねる。 「すみません……でした」  跪いたまま顔を上げて日向が謝罪を口にすると、浩也はスッと瞳を細め、震える叶多を見下ろしてくる。  切れ長の目をした整った顔は、ノンフレームの眼鏡と酷薄な表情のせいで酷く冷たい印象に見えた。 「もう、ワガママ言わないから」 「へぇ…… こんな事されても俺が好きなんて、ヒナってマゾ?」 「そうじゃなくて、北井くんが好きだから」 「へえ……まぁ、前にも言ったと思うけど、セフレ以上は無理だから」  そう言いながら身なりを手早く整えると、浩也はそのままドアへと歩き、振り向く事無く出て行ってしまう。  閉じたドアをしばらくの間ぼんやり見ていた日向だけれど、自分が裸のままでいることを次の瞬間思い出し、ノロノロと手を動かして制服を身に付けはじめた。  ――こんな関係を望んだ訳じゃないけど……これ以上は望めないから。  心の中で呟いた日向は涙を堪え、夕陽の射し込む教室をあとにした。

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