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「っいッ!」  首筋を噛まれた日向は痛みに声を上げるけれど、逃れようにも背後から強く抱きしめられてしまっているため体の自由が全く利かない。 「ひぅッ、アッ……アァッ!」  そのまま、下から激しく何度も穿たれ、もう日向には自分の口から出る声を、止めることができなくなった。 ――また、僕は失敗した?  朦朧とした意識の中、自分が何をしてしまったかを考てはみるけれど、その答えは浮かんでこない。だけど、そうでなければ浩也がいきなりこんな風になる理由など無いはずだ。 「ごめっなさぃっ、許しっ……ふぐぅっ!」  日向はなんとか許して欲しくて謝罪を口にするけれど、途中で口へと指を差し込まれ最後まで言葉を紡がせては貰えない。 「謝るな」  低く囁いた浩也が今度は耳をざらりと舐めてきて、耳の穴を塞ぐように侵入してくる舌の感触に身体中へと鳥肌が立った。  解放された首筋が、熱を持ってジンジンと痛む。  さらに乳首を捉えた浩也の指が捏ねるみたいに弄ぶから、全ての刺激に日向の体はいとも簡単に流されてしまい――。 「ふぅ! うぅんっ……ふぅっ」  閉じることのできない口からは唾液が零れ、喉のあたりを伝い落ちる。  絶え間なく襲う鋭い愉悦に耐えきれず、薄い体を震わせながら無意識のうちにシーツを引っかき前へ逃げようとした途端、抱き締める腕に力が籠り、突き上げがさらに激しさを増した。 「っふッ、っふッ! ……んんんぅ――!」 「クッ!」  一際強く突き上げられたその瞬間、浩也の小さな呻きが聞こえ、口から指が出て行くと同時に下腹部がじわりと熱をもつ。 ――終わった?  安堵を覚えた日向が体の力を抜くと、後孔から浩也のペニスが引き抜かれ、うつぶせだった体を仰向けに返された。  刹那、尻に強い痛みを覚え、日向は苦悶の声をあげる。 「ああ、そうか」  そう呟いた浩也が動き、腰の下へとクッションを挟む。これで、直接尻がシーツに触れることは無いが、腰が浮いているこの体勢は日向に羞恥を抱かせた。  最初に打たれた尻がどんな状態なのかは分からないが、この痛みだと結構腫れてしまっているのかもしれない。  そして、不思議なことに今の浩也には怒りの色が浮かんでおらず、日向の世話を焼く彼の姿に驚くとともに戸惑った。

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