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 だけど、それに気づいた男の一人に頭を掴まれ戻されてしまい、顔を背けることが出来なくなってしまう。 「今終わったから」  跨がっていた男のペニスが口内からから抜けた途端、激しく咳き込みはじめた男の口端からは、白濁した液体が零れて頬を伝う。近づいた聖一が、優しい手つきでその唇を拭っているのが見えたから、日向は酷く混乱した。 「貴司、大丈夫?」 「……セイ」  仕向けているのは明らかに聖一の筈なのに、労るような言葉をかけて拘束を解く彼の心が日向には分からない。  そして、彼に縋りつく貴司という名の人物の気持ちも――。  首輪以外の拘束を解いた聖一は、貴司の目を覆っていた布を最後に外した。 「セイ、イかせて…………あっ」  甘えた声でねだった貴司は、自分の周りにまだ他の人が居ることに気づき、戸惑ったように視線をウロウロと彷徨わせる。 「顔、初めて見たけど、なかなかじゃん」  日向の横から聞こえて来た声に続いて、他の二人も感嘆の声を漏らした。  貴司という人物の目は、元々はきっと切れ長な一重瞼なのだろうけれど、泣いていたせいなのか少し腫れていて、赤く色づいた目元と虚ろな瞳が艶を帯びている。 「セイ、どうして?」 「たまには顔を見せてあげてもいいじゃん。それに、今日は貴司にお土産持ってきたから」  貴司の問いへと返事をしながら聖一が日向に手招きをして、戸惑っていると後ろから突き飛ばすように押されてしまい、日向はそのまま二人の近くに跪いた。 「お友達、連れて来てあげたから、貴司も久しぶりに突っ込みなよ。入れるのは御無沙汰だろ? 出来たらコレ、取ってあげる」 「ああっ!」  言いながら、聖一が触れた貴司のペニスにはコックリングが嵌められており、勃ち上がっているそれは健気に解放を求め、先端からは透明な滴を滴らせていて――。 「……したら、達かせてくれるのか?」  そう聖一に尋ねながらも、真っ直ぐ日向を見つめる()には虚ろな色が浮かんでいて、焦点が定まっていない。 「約束するよ」  聖一が彼の耳許で囁いたその刹那、操られたようにこちらへと向かってきた貴司に対し、思わず日向は後退(あとずさ)った。  しかし、足首から伸びた長い鎖を聖一に引っ張られ、引き摺られる形で貴司の側へと倒れ込んでしまい。 「嫌ぁっ、止めて!」  一度は諦め全てを受け入れようと思った日向だったが、浩也以外の人間とする事にどうしても耐えられなくて、足を掴もうとする貴司の手から逃れようと必死に抵抗してしまう。 「押さえて」  聖一の声で動いた男に四肢を拘束されながらも、まだ諦め切れずに足掻く日向の腰が掴まれて、後孔へと貴司の猛った切っ先が押しあてられた。

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