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ビジネス㉗

なんで 拓真が俺を・・。 「洲崎社長は人を愛したりしない。 あの人の頭にあるのは仕事だけで いいように 使われて捨てられるのがオチだ。 俺なら柚を幸せにしてやれる。 一体何を頼まれたのかは知らないが止めとけよ。 ビジネスだって言ったって 柚の性格なら 情が移るだろう。絶対に辛い思いをする。 俺なら柚を・・・。」 「ちょっと待ってよ。」 もう沢山だ。 頭が働かない。 何なんだ。これ。 俺は男だぞ。 誰かに幸せにして貰おうなんて思ってない。 確かに拓真の言う通り 既に情は移ってるのかも しれない。 でもだからって それは俺が自分で負うべき事で。 今までだって 色々巻き込まれたりしたけど 一度だって誰かのせいになんてしていない。 伊織さんの事だって そんな風には思ってないし それに捨てられるも何も。 俺たちは・・。 「・・ごめん。帰って。」 顔を背け エプロンを外して椅子に放り投げる。 「柚・・。」 「拓真の言いたい事はわかったから。 でも だからって 人を悪く言って だからどう。とか・・そういう話なら聞きたくないし そんな拓真見たくないよ。 その人がどういう人かなんて 自分がどう思うかだと思うし・・。 それに何を勘違いしてるのかわかんないけど 伊織さんとはそういうのじゃないから。」 そう。 違う。 ただ2ヶ月間恋人ごっこをするだけだ。 ズキンと胸が痛くなる。 もう。なんなんだよ・・俺。 「柚。でもな・・。」 ブンブンと首を振る。 「帰れ。」 バックヤードへのドアを開け中に入り パタンと後ろ手でドアを閉じる。 しばらくして カランとドアベルが鳴り 足音が遠ざかった。

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