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ビジネス㉙

キスされて 嫌じゃなかった。 なんで嫌じゃないのかが分からない。 気持ち良くて もっとって あの時そう思っちゃって。 なのにビジネスだって言われて 痛みが走った。 それが何故なのか。 知りたくない。 認めたくない。。 ブルっとポケットに入っている携帯が震えた。 拓真かな。 今はやっぱり話したくない。 気持ちは有り難いけど 受け止めきれないし・・。 携帯を取り出し 画面を見る。 え。 躊躇し それでもボタンを押した。 「もしもし・・。」 「何処にいる。」 何処って・・。 「家に・・帰る途中の川沿いの・・。」 「おでん屋。」 伊織さんは唐突にそう言って プツっと電話が切れた。

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