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ビジネス㉚

川沿いを走り 勝さんのおでん屋へと 辿り着くと ビニールを捲る。 伊織さんはビールを飲みながら すじぽんを食べていた。 「伊織さん・・。何やってるんですか。」 「鳩時計に行ったが 店が閉まっていた。 運転手の笹目が場所を覚えていたから来ただけだ。 この間定休日だったからな。」 伊織さんはツンと澄ましそう言って すじぽんをパクっと口に放り込む。 もう・・。 「柚ちゃん。いらっしゃい。」 勝さんはにこにこと微笑み コップと瓶ビールを出してくれる。 ホント勝手だなぁ。。この人。 諦めて伊織さんの横に座る。 横から手がぬっと出て 瓶ビールを持ち トクトクと俺のコップに金色の液体を注ぎこむと 伊織さんはグラスを ん。と掲げた。 カチンとグラスを合わせて 煽るように一気に飲み干す。 体内をキンキンに冷えたビールが通り 気持ちがいい。 ああ。ちょっとホッとした。 「顔色が少し戻ったな。」 伊織さんはそう言って大根をパクリ。 そっか・・。 俺。やっぱり普通じゃなかったんだ。 顔色が悪くなる程・・。

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