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第1話

 俺はデリヘルの仕事をしている。お客さんに指定されたホテルに行ったり自宅なんかに行って性的サービスをする仕事。ていの良い言い方ならばサービス業で生きているのが毎日だ。この仕事を始めたのは学校帰りに怖いお兄さんたちにレイプされたからだ。レイプが気持ちよかったとか、そんなんじゃなくて俺自身が壊された気がした。犯されながらプライドとかそんなもんが無くなったように俺は人形と化した。気が付くと俺は気持ちがいいのか悪いのか、ああ、ああ、と喘いでいた。俺はどうかしてしまっていた。それでその時の動画を撮られてデリヘルで働けと脅されている。警察に相談しても良かったが相手は地元の大きな暴力団のチンピラだと言った。俺だけじゃなくてお母さんにも危害を加えられたら困る。  今日は店の待機室は和やかだった。色の白い大人しい光くんという子が新入店してきたからリーダー格の智哉くんという男の子が遣り方を面白可笑しく説明してあげていた。コンドームは破けた時が困るので2重にした方がいいと言ってみんなを笑わせた。智哉くんは「男同士だから妊娠の可能性はないが病気が恐ろしいんだよ」と真面目な顔をする。俺はこの仕事を始めて半年。まだ性病には罹ったことがないが、そんなものに罹って誰かにうつしてしまったら大変だ。だから彼女は作らない。

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