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第5話
「ロイスはモテるから、敵が多そうで困る」
「? それはシオンでしょう?」
「俺はお前一筋だ」
その言葉に、僕は思わず照れた。するとシオンが、外だというのに僕を抱きしめた。
「細いな」
「貧相だよね……」
「貧相というか、心配になる。きちんと食べているのか?」
「食べてるけど、生まれつき筋肉がつきにくいみたいなんだよ」
僕が頷きながら言うと、シオンが僕の後頭部に腕を回して、厚い胸板に僕の頭を押し付けた。その力強い感触に、僕は完全に赤面した。
「家、行こう?」
「ああ、そうだな」
こうして、僕達は、僕の家へと向かった。階段を登っていき、角の部屋の扉を開ける。中に入って扉を閉めると、再びシオンが僕を抱きしめた。
「シ、シオン……今、お茶を出すから……あの、離して……」
「嫌か?」
「嫌じゃないけど……あの」
緊張してしまうのだ。何せずっと恋焦がれていた相手に、抱きしめられているのだ。その時、シオンが僕の顎を持ち上げた。そしてじっと覗き込んできた。
「キスがしたい」
「……うん」
シオンの透き通った瞳から、目が離せない。僕は近づいてくる唇を見ているしかなかった。すると、啄むようにキスをされた。その柔らかな感触に、僕は浸る。
「ん」
続いて深いキスをされた。うっすらと開けた僕の口腔に、シオンの舌が忍び込んでくる。そうして僕の歯列をなぞると、舌を絡めとった。荒々しいキスに、僕は息苦しくなる。これまで誰かとキスをした事など無いから、息継ぎの仕方が分からない。
「あ、ハ」
唇が離れた時、僕はぐったりと、シオンの腕の中に倒れ込んでしまった。僕を抱きしめるようにして支えたシオンは、今度は僕の額に口づけた。
「お茶よりも、ロイスが欲しい」
「……」
「俺のものだと、しっかり確認したいんだ。正直、既成事実も欲しい」
羞恥に駆られた僕は、ギュッと目を閉じてから、小さく頷いた。
その後、寝室へと移動し、僕は寝台に座った。シオンは上着を脱ぎながら、僕を見ている。僕も、シオンと一緒に寝るかもしれないと考えていたから、既にお風呂には入っている。最初は僕の意識のしすぎかと思ったが、この状況になって、体を洗っておいて本当に良かったと思った。
僕が眺めている前で、シオンが香油の小瓶を取り出した。僕は真っ赤になったままそれを見ていた。ベッドサイドに小瓶を置いたシオンは、それから僕を優しく押し倒した。
こうして夜が始まった。
「あ、ァ……」
じっくりと香油で慣らされた後、僕はシオンの楔を受け入れた。ゆっくりと挿ってくる陰茎は巨大で、指とは全然異なる。熱く脈動するシオンの陰茎が進んでくる度に、僕は息を詰めた。ギュッとシーツを握りながら、僕は正面にあるシオンの顔を見る。
「辛いか?」
「平気……ぁ……ぁァ……ん!」
根元まで挿ってきた時、僕は思わず目を閉じた。睫毛が震えたのが自分でも分かる。生理的な涙がこみ上げてきた。結合部分が熱くて、全身が蕩けそうだ。じわりじわりと熱で炙られるように、僕の体は昂められていく。
シオンは一度荒く吐息すると、僕の頬を撫でた。
「少し力を抜いてくれ」
「で、出来な……ああ! あ、ア」
「きついな――初めてか?」
「う、うん……っ、ひぁ……ん、ぅ」
「馴染むまで待つから、ゆっくりと息をしてみろ」
「あ、あ……っく」
言われた通りに、僕はゆっくりと呼吸した。動きを止めたシオンは、指先で僕の涙を拭ってくれた。全身が汗ばんできて、僕のこめかみに髪の毛が張り付いているのが分かる。その内に、体を熱が絡め取った。
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