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第3話
それから再び店のフロアに戻ると、ウィルとピノは食材の整理を始めていて、代わりにテオさんが俺の前に立った。
「虹灯芋を買いに行っていただけるんですか?」
「あ、はい!」
「助かります。今日は有益な情報を持って古馴染みが来る事になっていまして、ぜひ虹灯芋のポトフを振る舞いたいと思ってるんですよ」
だから少し多めに買ってきて欲しい、と、テオさんが続けた。それを聞いて、本日の賄いでも確定で食べられそうだと判断し、俺は嬉しくなって大きく頷いた。しかし、有益な話って何だろうな?
そんなこんなで、俺は『苔庭のイタチ亭』を出た。
空から舞い落ちるのが綿雪に変わっていて、少し積もりそうだなと空を見上げる。
こんな日だからこそ暖かいものを食べたい。
「ま、あったかい――人肌の方が良いけどな。食べるなら、なんかこう好みの冒険者でも食べたいな。俺こそ味見したい。芋売りのお店の人、俺が味見してみるか」
ブツブツと俺は呟いてみた。頭の上に雪が積もってくる。しかし別段俺はヤリチンというわけではないので、呟いただけで終わった。
その後無事に買い物を終えて、この日の開店に俺は備えた。
毎日が、こうして過ぎていく。
(終)
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