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第2話
確かに誰が誰を好きだろうと、そいつの勝手だって事は分かっている。だが俺が好きなのは匠で、その匠をこいつは好きだと言う。
別にこいつが嫌いというわけではない、ただ例え相手が愛次郎でも。
「いくらお前でも匠は渡さない、絶対に。」
掴んでいた襟を離し真っ直ぐ愛次郎の目を見つめ告げる。
幼稚園の頃からずっと好きだったんだ ……今更自分以外の奴に渡すなんて有り得ない。今までみたいに守るのも、それ以上の事をするのも俺だけだ。
決意にも似たそれを向けていれば突然、愛次郎の表情が緩み何故か得意げな笑みを向けてきた。
「だよねぇ〜、だって礼ちゃんずっとタクちゃんのことエッチな目で見てるの俺知ってるよ〜?」
「はあ?! んな汚ねぇ目で見てねぇし!!」
「えぇ〜? 絶対見てたってばぁ、タクちゃんの処女穴にちんこ挿れたいなぁ〜って顔してたでしょ〜?」
「なっ、っ愛次郎てめぇ……!!」
ドヤ顔でとんでもないことを言ってくるこいつに軽く殺意が湧く。両手で軽く首を絞め、雑に揺すっても、こいつの態度は変わらず楽しげに笑っていて。
「だってぇ、俺もタクちゃんのこと同じ目で見てるもん。間違えるわけないでしょ〜?」
その言葉に固まる俺。そんな俺を見て不思議そうな表情で首にかかる俺の手を外す。
「おい待て……お前ってそっち……?」
その質問に納得したのか嫌味なくらい爽やかな笑顔と共に返ってきた答え。それを聞いて呆れる俺を見る愛次郎の目が一瞬にして輝いた。
その目は俺ではなく、いつの間にか後ろにいた奴へと向けられていて……
「タカちゃ〜ん! おはよ! 今日もカッコいいねぇ」
甘ったるい猫撫で声を上げながら俺の横を通りすぎ、そいつに向かって両腕を伸ばし突っ込んで行こうとする愛次郎を受け止めようとはせず、さらりとかわし素知らぬ顔で俺へと話しかけてくる。
「礼君達こんな所で何やってんの? んなダラダラしてると匠に置いて行かれるんじゃね?」
「ダラダラしてんのはそいつだけ。一緒にすんな」
普段ならもうとっくに匠の家に着いてる時間だが、開口一番とんでもないことを言ってきた愛次郎の所為で無駄足を食っていただけだ。
しかし態々それを1から説明してやる程俺はお人好しではないし、ましてや話す内容でもない。
「礼ちゃんとさぁ、2人でタクちゃんの事好き〜って話してたんだよねぇ」
ねぇ礼ちゃん?と続く言葉。避けられ派手にコケた膝を叩き、いつの間にか隣に立っていた愛次郎が俺を見て同意を求めてくるが、こいつの前でそんな素直に「はいそうです」とか言える訳ないだろ……
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