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第19話

「......わーぁ、ハレンチぃ」  屋上に行くと、既に桐とさやが待っていて、桐の第一声はそれだった。 「そんなに、分かりやすいか?」  まだジンジンと鈍い痛みが響く腰を庇ってるのがバレバレなのか、と眉を寄せれば桐がいやぁ、と言いにくそうにしたところで、さやがその後に続けた。 「先輩、鏡見ました?」 「......いや、見てねぇ」 「じゃあこれ、どうぞ」  さやから向けられた手鏡に映るのは俺の首元。そこにはいつ付けたのか、赤いキスマークが大量に散りばめられていた。 「......さや、お前、」 「すみません、どうしても付けたくなっちゃって」  てへ、とでも効果音がつきそうな顔で謝る。正直謝られた感じはしないけど可愛いから許そう。この大量のキスマークで俺が下だと周りにバレようが、もうこの際開き直った方がいい。  桐の言う通り、嫌ではないしどちらが上下だなんてことは気にしないことにしよう。俺はさやと一緒に過ごせて幸せなんだから、例え初めに思っていたこととは少し......いや、大分ずれていても関係ないだろう。  ただ、慣れるまでは時間がかかりそうだが。

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