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サディスティックな恋してる!
横にそのまま倒れこんだ健吾さんが、枕元からティッシュを引き出して腹を拭ってくれる。なんか甲斐甲斐しいなって感動してされるがままぽーっと眺めていたら、ゴミ箱にぽいって投げた後に軽くキスをされた。頬が緩む。
「んで、何処に合格したんだ?」
布団に頬杖を突いて見つめられる。額に流れた前髪が汗で貼り付いているのもセクシーだなあ。
県内の商業大学の名を上げて、経済学部って言ったら、ふうんと鼻を鳴らしている。
「どうかした?」
「男の方が圧倒的に多いじゃん。なんだかなあ」
眉を寄せているのは嫉妬なんかな。
って。え!? 嫉妬ぉ?
だらしなく顔中が緩んでしまって、慌てて布団を掻き寄せて隠そうとしたら、すかさず阻まれてしまった。
「何やってんだよ」
「だって」
もごもごと口の中で言い訳しても、どうせ俺の頭の中なんてお見通しなんだろう。おかしいか? って直球で尋ねられて、らしくないなんて言える筈もないじゃん!
クーデレがデレた! まさにそんな感じ。
学力的に微妙だったけど、たった一つの推薦枠もらうために頑張ったんだよ、俺。その間に会えなくて辛かったし、ようやく合格したと思ったらその後に変なのに捕まっちゃったけど……でも、もしかしたら、そんなこんながあったからこそ、今デレてくれてんのかもしれない。
あのままだと、同じような調子で、マニアックなプレイだけがエスカレートして、俺は不安なまま抱かれてたのかもしれない。そう思うと、無駄なことなんてなかったんだって、余計に嬉しさが募る。
「あ、忘れてた」
何を思い出したのか、健吾さんがベッドから下りて、ついでに下だけ服を着てから、いつもの引き出しから小箱を手に取り戻って来た。
「合格祝い」
横になったままの俺の顔の前にちょこんと置かれたもの。オフホワイトの紙箱の中に、さらさらの手触りの布張りの箱が入っていてですね。
え? まさかのあれ?
「あ、あのっ」
手が震えて、健吾さんの顔と箱とを交互に見て口をぱくぱくするだけ。そうしたらにんまり笑った彼が、俺の手の中に置いたままぱくんと開いてくれた。
「――ん?」
あれ? なんか形おかしくね?
台座から取り出してみると、手の中にコロンと転がる銀色の物体。リングが四つ組み合わさって、上下左右が判らないし、指より太いし、一体何するものなのか不明だ。
糠喜びしそうになった俺、どんまい。
でも、健吾さんが俺にくれたものっていうだけで凄く満足だから、仕舞っておいてもいいよね。
え? 駄目? 健吾さんの手がそれを掴んで、すごーく嬉しそうに笑ってるんですけども。
「付けてやるよ」
そう言われてもどこに付けるのやらで、黙ってじっとしていると、寝転んだままの股間に手が伸びて、やんわりと袋ごと持ち上げられる。
「ふにゃっ」
「なんだその反応」
くすくす笑いながら、ただ触れられているだけなのに芯を持ち始めたそこに指を絡めて、それぞれのリングに竿と両方の袋を通していく。
「サイズ合ってて良かった」
ご満悦のようだけど、嵌められた本人は呆然とするしかなくて、ですね。
「これ、大学でずっと嵌めとけよ?」
上目に見つめられて、それにきゅんってときめいてしまったらもう駄目だ。盛り上がる気持ちに連動して大きくなったところをぎゅっと阻むステンレスのリング。
無情だ……無情すぎる。
やっぱり、デレがあっても健吾さんは健吾さんで。そんな彼に何をされても嫌いになんてなれなくて。
俺ってホント――サディスティクな恋してるよなあ。
Fin.
沢山のリアクション&コメントをありがとうございました♪ ひとみと一緒にハラハラドキドキしていただけたなら幸いです(*/ω\*)
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