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第2話 ぬくもり

パチパチと何かが弾ける音が聞こえる。 身体が柔らかいモノに包まれているらしく、とても心地いい。 心地いいけれども、すごく暑い。 身体の向きを変えようと力を入れてみるけど、怠くて思うように動かせない。その上、頭がズキズキと痛むことに気づいた。 僕は今、一体どういう状態なんだろう。 目を開けて確かめたいと思うのに、瞼がピクリと動くだけで、開けることが出来ない。 暑くて怠くて痛いと言いたいのに、口も動かせない。 喉も渇いてきて、どうしようかと困っていると、僕の熱い顔に、冷たい手が触れた。 「やはりまだ熱いな。仕方がない…。もう少ししたら薬を飲まそう」 ーーとても優しい低い声…。誰なの? そう問うたつもりが、渇いた喉からは熱い息しか出なかった。 ーー誰か知らないけど、水が欲しい…。 そう願った声が聞こえたかどうかはわからないけど、ふいに、口の端に何かが差し込まれ、少しずつ水が入ってきた。 僕は何度か喉を動かして、与えられるまま水を飲んだ。 喉の渇きが満たされて、大きく息を吐いて口元を緩める。 すぐ傍で、ふ…と笑う気配がして、先程額に当てられた冷たい手が、僕の頰を撫でた。 パチパチという音しか聞こえない部屋に、掠れた声が、静かに響く。 「早く目を覚ませ…。どんな瞳をしてるのか見たい…」 その声に応えるように頷いたけど、わかってくれただろうか。 ーーあなたは、誰?僕も、あなたが誰かを知りたい。僕が起きるまで、待っていて…。 テレパシーで送れたらいいのに…、とくだらないことを考えながら、休息を求める身体に引きずられるように、また深い眠りに落ちていった。

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