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第1話
大好きな人がいるのに気が付かないことってあるものだ。抱いたのは唐突で順番が違くね、って言われたが、俺はあいつを大事にしようと思う。そう、俺の好きな相手は男だ。
━━━━3ケ月前━━━━
今日の天気は素晴らしくいい。俺は自転車を足にしているので、雨や風が苦手だ。特に今の季節は雪が怖い。ここは埼玉県なので雪が降り積もるまで降ることは少ないが、それでも去年は一度、20センチくらいの厚さになった。隣のお祖父ちゃんが滑って転んでいるのを助けようとして自転車から降りた途端に俺も転んだっけ。思い出すと苦笑いだ。
天気があまりにもいいからサイクリングでもしたくなった。今日は日曜日、学校は休みだ。部活も今日は無い。コンビニでサンドウィッチか何かを買ってから隣町の農林公園に行って、のんびり休日を過ごそう。そうだ、サンドウィッチを買うのもいいが作るってのもアイデアだな。ハムとチーズを挟むくらいなら俺でも出来る。ツナだってマヨネーズとかき混ぜるだけだろう。
俺は家のはす向かいにあるコンビニにパンと中に挟む具材を買いに行く。サンドウィッチを買っちゃったほうが安上がりかもしれないが手作りは美味しいような気がする。自分の分だけ作るのも面倒だから、和樹でも誘おうか。アイツ、彼女もいないし、きっと暇してるだろう。
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