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Hated John⑥

童貞丸出しで固まっている俺の耳にキスしながら 「口開けて」 と無駄にエロい声を響かせる。 少し開けただけなのに、するりと舌が隙間から入ってきやがった。 イソジンの味が残ってたけど、舌が動くたびに唾液が口の中にいっぱいになっていって、身体に腕が回されて、もう訳が分からなくなった。頭を撫でられるたびに頭の中が空っぽになっていく。 唇が離れると短く糸が引いて、切れるとヒヤリと唇に貼り付いた。 「はぁ、マジかわいい」 ジョンは俺の肩に顔を埋める。 抱きついたまま腰を撫でながら、自分の硬くなったモノを押し当ててくる。 「あー、挿れたい」 ピッタリくっついている身体から、鼓動が速くなったのが絶対バレてた。ジョンがニヤリとしたからだ。 俺のジーパンのファスナーを下ろして手を入れてくる。ジョンが触る前からもう勃っていた。下着越しにジョンが俺のをなぞる。 「ゴム持ってる?」 「ホテルにあるんじゃねえの?」 「アウト。アナルでするときは絶対つけとけ。フェラするときも出来ればつけといた方がいい。ローションは?」 「持ってるわけないだろ」 「アウト。売ってるとこもあるけど、自分でも持っとけ。ないとキツイぞ」 全然ダメ、と直接ペニスを触られる。 「相手のペニスの状態もちゃんと見とけよ。デキモノがあったり、ポロポロ皮が剥けてたりしたらやめとけ」 指の腹で丸を描くように先を触られて、液が滲んでくる。 「ま、こんなとこかな。全部覚えた?」 「・・・無理に決まってんだろ」 竿に手を当てられたまま喋られても、ろくに頭に入ってくるわけがない。 「あーあ、じゃあ罰ゲームだな」 ジョンのムカつくほど綺麗な顔が近づく。 反射的に目を閉じた。が、一向に来ない。 やられた、と思って目を開けると、満足そうに目を細めるジョンの顔がすぐ近くにあった。 「アッハッハ!マジかわいい!」 恥ずかしいのとムカつくのとで顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。 「でも、そろそろ帰んないとな」 え、と気の抜けた声が出た。 ジョンは手を洗いながら 「俺寮にいるし、明日出勤だし。お前も学校あるだろ」 「しねえの?」 「したかった?」 鏡に映った俺は中々の間抜け面をしていた。 ジョンの女みてえな目が艶っぽくたわむ。 「イイコトいっぱい教えてやっただろ」 「は?えっ、そういうこと?」 あのずっとダラダラ喋ってたのが? 「それだけの為にここまで来たのかよ」 ジョンはただ薄く笑っている。 「じゃ、授業料払って」 ジョンは手を出す。 「ホテル代。割り勘な」 「高校生から取るのかよ」 「金払ったからって無茶振りしてくる連中もいるんだよ。ホテル代は折半でもいいけど、基本自分の分は自分で払え」 財布の中身がほとんど消えた。 不本意ながら、帰りはヤツに家の近くまで送ってもらう事になった。 「結構遠かったんだな。来てくれてありがとな」 ジョンは笑った。 そして手招きして、リップ音をたててキスをされた。 「気をつけて帰れよ」 誰かさんに似た人懐っこい笑顔だった。 ジョンに会ったのは、というか関わったのはこれで最後だ。 ヤツとは時々すれ違ったり見かけたりしたけど、声をかける代わりに爽やかな笑顔を貼り付けるだけだった。 職質しては嫌な顔をされ、周りの人間はヤツを見かけると避けて歩き、酔っ払いに絡んだり絡まれたり。 先輩とやらはジョンを見るたびに顔をしかめてた。 みんなの嫌われ者ジョン。 なのにヤツはいつもニコニコしてて、あれが大人ってやつなんだな、って思った。 で、だ。ジョンにあっけなく袖にされた俺に、さらにマズイ事が起こった。 高二の時果穂が産まれても俺は相変わらず家には帰らなくて、自分でもクソだと思うけどその頃アプリを初めてセックスを覚えた。 待ち合わせ場所がバラバラだったから、ジョンに会うこともなくなった。 ペットショップボーイズの"The Sodom and Gomorrah Show"を覗いちまった童貞みたく、セックスにハマった俺はもう馬鹿みたいにヤッてたと思う。ジョンとキスした時の感覚が忘れられなくて。 いや、惚れた腫れたの話じゃなくて、セックスしてる時は何も考えずにいられたから。 ゲイアプリで相手が捕まらないときは、ハッテン場まで何駅分も歩いた。今はこれでも落ち着いた方だ。 まあそんな事はどうでもいい。 更に最悪だったのは、姉ちゃんと優二に全部バレたって事だ。

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