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夢?現実?
手首の痛みで俺は目を覚ます。
手首からは血が流ていた。
夢?
どこから?
また切っちゃった。
颯太怒るかな?
「ただいまって、由貴くん!?」
手首を切っている俺を見て颯太は大慌てしていた。
そして。
病院に連れていかれた。
もちろん。
めっちゃ怒られた。
「由貴くん。今日はどうして?」
「夢みたんだ」
「夢?」
「うん。颯太が死んじゃう夢……。颯太がいないなら生きている意味ないから……」
「それで夢と現実がごちゃごちゃになって手首切っちゃったの?」
あきれたように颯太はため息を吐いた。
「俺はどこにも行かないし由貴くんのそばにいるよ?」
颯太はもうどこにも行かないって言ってくれてるし、わかってるのに。
「わかってる。颯太はどこにも行かないってわかってるのに、不安で仕方ないんだ」
ふらつく身体を起こし颯太に抱きついた。
「わかってるよ。一番ツライのは由貴くんだから。原因は俺だからね」
「だって俺が由貴くんのことを忘れちゃって由貴くんから離れていったからでしょ?」
「違う。颯太のせいじゃないから」
颯太のせいじゃない。
俺が弱いから。
だから……。
「由貴くん、少し寝てなよ。由貴くんが起きるまでずっと手を繋いでるから、ねっ?」
それを聞いた俺は安心して眠りについた。
夢で良かった。
颯太が死んでいなくなるのは、きっと耐えれない。
俺は颯太がいないと生きている意味ないから。
男のくせに人にこんなに依存するとかおかしいかもしれないけど。
それでも。
俺は颯太がいないと生きていけない。
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